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本記事では、大企業目線での新規事業を成功に導くポイントについてお伝えします。
これらを守れば必ずしも成功するというわけではありませんが、どれも気を配っておくべき大切なポイントです。
とはいえ、事業創出において担当者ごとに染み付いた方法もあるかと思いますので、必ずしも取り入れる必要はなく、一参考情報として利用してください。
事業ドメイン検討
新規事業検討の土台を整えるために重要なのが以下4つです。
- 事業ドメインの検討
- 目標とスケジュールの設定
- 社内を中心とした仲間作り
- 予算確保
大企業規模となると企業としてのケイパビリティがある一方、部門間が分断されていることも多く、アイデア具体化の段階で他部門とバッティングするなどして検討が滞る可能性があります。
そのため、市場として有望なことはもちろん重要ですが、自分たちが動きやすいドメインを選択する方が順調に事業をスタートできる可能性が高いです。
必ずしも新しいテクノロジーやトレンドに乗っている事業ドメインでなくても、自分たちが使えるリソースが有効そうなドメインがあればそこを中心に考えることがてがかりとなると思います。
また、当たり前ですが重要となる予算確保です。
検討を共に進める横並びのメンバーと共に、継続的な予算確保につながる社内のキーパーソンとの関係構築や成果の見せ方も意識しましょう。
事業アイデア検討
事業アイデア検討の段階でのポイントは4つです。
- ユーザーのペインポイントを見極める
- 議論を文字や絵で視覚化し、メンバー内で認識齟齬を発生させない
- キーパーソン・関係各所との密なコミュニケーション
- 社内上下のステークホルダーは全員抑える
検討していく中で、相手を立てたり、スケジュールを気にするあまり焦点がずれてしまうことがあります。
大事なのはユーザーの悩みが解決できるかどうか。
ユーザーの一番の悩み(ペインポイント)がどこにあるかをしっかりと考えることです。
アイデア検討はもちろん社内で行いますが、そこに顧客は不在です。顧客が不在の状態でビジネスを考えるのは迷走につながります。
従って、アンケートやインタビューを通して仮説検証を繰り返し、顧客ニーズをつかむことが重要です。
よく考えているテーマ程、検討を進めていくと議論が空中戦になってしまいがちです。
この状態で進めると認識のずれが発生していても気が付けず、後になって発覚なんてことも珍しくありません。
メンバー内で認識齟齬を発生させないためにも、文字や絵での視覚化は常に行いましょう。
更に重要なのは実際のお客さんに営業やプレゼンを行うことです。
アンケートやインタビューでは聞こえが良いことを言ってくれていても、実際に購入意思があることは多くないため、どこで意思決定が躓くかなどを事前に把握することや、実は気になる点など解決すべき課題とその優先順位を把握しましょう。
そして、事業には協力者の助けが不可欠です。
前項の予算確保の時もそうでしたが、引き続きキーパーソンや社内外問わず関係各所とのコミュニケーションを行い、情報収集と仲間作りを進めておきましょう。
横のつながりも大事ですが、縦のつながりも同様です。
担当者が役員などの最終承認者と懇意にしていることがありますが、その間の部長層を握れていなければそこで滞ってしまう可能性もあります。
稟議を通す際の承認者を抑えられれば十分です。
【関連記事】新規事業アイデアの出し方|フレームワーク・大企業の成功事例も紹介
大企業の戦い方
スポーツだと自身のスタイルに合わせた戦い方がありますよね。
ビジネスでも同様に、企業によって適した戦い方があります。
大企業の戦い方を意識しましょう。
- 資金力を武器に、広く手を出して、芽が出た事業にリソースを集中させる
- 自社ですべてを賄おうとせず、他社の力を利用する
- 買収や協業につなげられるスキームを検討する
- AIや自動運転など、新しい領域のスタートアップを買収してケイパビリティを獲得する
最近、自ら事業の開発を行わない大手が増えてきています。
事業ドメインが異なるとノウハウが少ないため、うまくいっている企業やスタートアップのサービスを担ぐことでケイパビリティを補っていることが増えています。
大企業だからと言ってすべて自前で賄わず、他社とケイパビリティを出し合うことは新規事業において有効な戦い方の一つです。
また、ケイパビリティ獲得するために買収を視野に入れることも資金力のある大企業ならではの戦い方と言えるでしょう。
買収や協業スキームを検討する際は、あらかじめ関連領域のPoCなどを行って準備することも有効です。
スタートアップが挑戦する新しい領域は法が整っていないことも多々あります。
このような領域はチャンスがある一方で、相応のリスクも生じます。王道な市場を狙うことが正しいわけではなく、常にチャレンジはすべきですが、企業ブランド毀損リスクを鑑みたときに見合った投資なのか見当が必要です。
本サイトの運営ならびに記事の執筆を行っているムーンプライドでは新規事業の立ち上げや推進に関するコンサルティングサービスを提供しております。
大手企業における新規事業企画、事業の推進支援やパートナー企業との共創事業支援、DX営業支援などを行わせていただいており、ご興味のある方は本サイトの案件登録フォームからお問い合わせください。
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スタートアップのイノベーション事例を鵜呑みにしない
新規事業のアイデア創出にあたり、イノベーションを起こしたスタートアップの事例を参考にすることもあるかと思います。
しかし、それら事例を鵜呑みにしてはいけません。
事例の中には、法整備ができておらず当時ではグレーな領域にチャレンジした例もあります(例:Airbnb)。
これらは事業リスクが高く、ある意味スタートアップだからこそ許されるビジネスモデルとも見て取れます。
企業のステージや規模と事業リスクを吟味することが重要となります。
撤退基準を定める
検討の際には目標と同時に撤退基準も定めましょう。
- 撤退基準と判断ポイントを定める
- 上司や検討メンバー(社内外問わず)とのコンセンサスを取る
事業はもちろん、検討においても撤退の判断は非常に難しいですが、同時に大変重要でもあります。
現状が芳しくない場合でも、これまで時間やお金、労力をかけて検討をしてきたが故にサンクコストバイアスが働き、撤退の判断ができない事が多々あります。
大企業であればあるほど金銭的・人的リソースに余裕がある、上層部に話が通っている、社内広報で取り上げられた等の手前、退くに退けないといった状況にも陥り、何か無理やりひねり出そうとした結果負け戦を挑むケースが見受けられます。
あらかじめ、タイミングで撤退の条件を決めておくことが重要となります。
スピード感を以って推進
新規事業検討において重要となるのがスピード感です。
- 検討を減速させないために、報告ポイントなどのマイルストンを定める
- 常に社内外に向けたアウトプットを意識する
時間短縮を意識するあまり、クオリティの低いアイデアになってしまっては本末転倒ですが、競合に先を越されてはいいアイデアも二番煎じになってしまいます。
また、新規ビジネスは結局のところ、やってみないとわかりません。
良い方にも悪い方にも転ぶ可能性は大いにあります。なので、一つのものを大切に育て上げるよりも、数を打つ方が重要になることもあります。
加えて、新規事業の検討部隊は特性上どうしてもコストセンターになってしまいがちです。
組織規模が大きくなるほど、検討部隊を良く思わない人もいることでしょう。
ですが、検討が進むにつれてそういった人たちの助けが不可欠な場面もやってきます。
だからこそ、新規事業検討に取り組む際はどんなに小さな案件でも社運を賭けた重要任務であることを自覚し、何かしらのアウトプットを出し続けること、それを意識することが周りへのアピールにもなります。
経験者に相談
新規事業開発の経験者がチームにいない場合は経験者に相談しましょう。
- 社内の知り合いや繋がりから経験者に相談、チームに引き入れる
- 新規事業開発支援の会社など、社外に相談する
実際のところ、事業開発の経験やスキルは簡単に身につくものではないため、社内で見つけるのは困難でしょう。
社内にリソースがないならば、社外からリソースを調達するのも良い解決法です。
【関連記事】新記事業コンサルティングの役割とは?依頼のメリットや失敗しない選び方
まとめ
最後に、タチアゲを運営するムーンプライドでは新規事業立ち上げの伴走やその一部となる市場調査、事業企画、営業支援、オペレーショナル・エクセレンスの改善などを得意とする大手コンサルファーム出身のコンサルタントが多く在籍しております。
新規事業を担当されている方でコンサルタントの支援が必要な場合はお気軽にお問い合わせください。
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