収支計画書とは?書き方・作る際のポイントや無料テンプレートも紹介

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新規事業をはじめる際には、収支計画書の作成が求められます。

新規事業の企画を通すかどうか、また実際に新規事業を進めるかどうかの判断材料になるからです。

本記事では、収支計画書の役割や記載する内容、そしてどのように書けばよいかのポイントを解説していきます。

収支計画書とは?

収支計画書とは?

収支計画書は、事業を行うことで発生する収入と支出を予測し、どれくらい利益を得ることができるかを示す計画書です。

利益を確保し、キャッシュが残らなければ事業を継続することはできないため、新規事業を始めるにあたって事前にキャッシュの動きをある程度把握するために、精度の高い予測に基づいた収支計画書をつくることは重要と言えます。

収支計画書と混同されがちなもの

収支計画書と混同されがちなもの

続いては、収支計画書と混同されやすい「利益計画書」「損益計算書」について説明していきます。

・利益計画書

利益計画書とは「売上高」「費用」そして「利益」この3つの項目の目標計画を書面にしたものをいいます。

収益計画書と記載する項目自体は同じですが、収支計画書が実際のキャッシュの動きを予測した計画なのに対して、利益計画書は売上発生ベースで予測した計画です。

例えば、1月に売上が発生し、実際に入金されるのが2月の場合、収入計画書では2月の収入として記載しますが、利益計画書では1月の売掛金として記載します。

・損益計算書

収支計画書や利益計画書が将来の目標や予測値であるのに対して、損益計算書は、収益、費用、利益の実績値を記載したものになります。

決算書に含まれる財務三表のうちの一つでP/Lとも呼ばれ、一定期間内の会社の収益と費用を計算し、残った利益はいくらかをまとめたものです。

事業によって結果としてどれくらい利益を稼ぐことができたのかを示すため、事業の成績表と言われることもあります。

収支計画書作成の目的と必要な場合

収支計画書作成の目的と必要な場合

収支計画書は、新規事業がうまくいくのかどうかの判断材料として、またお金がいくら入ってきて、いくら出ていって、手元にはいくら残るのかという事業継続のための資金繰りを把握するために必要なものですが、他にも以下のケースでは収支計画書の提出を求められることがあるため、作成が必須となります。

ケース1:金融機関からの融資獲得

新たに会社や事業を立ち上げる際に融資を受ける場合、金融機関が融資を実行するかどうかの判断材料にするため収支計画書の提出が求められることがあります。

融資した金額を滞りなく返済してもらえるのか、その確認をするために収支計画書が使用されます。

融資を受ける側にとっては金融機関を説得する材料となるため、明確な根拠に基づいてお金の流れを示した収支計画書の作成が求められます。

ケース2:新規事業の予算獲得

ケース1と異なり、企業内で新規事業立ち上げの予算を獲得する場合も、会社を説得するために事業計画書と併せて収支計画書が必要になります。

会社から預けてもらう予算は金融機関から受ける融資と同じ意味を持ちます。

融資のように返済する必要はないものの、会社側は預けた予算が事業によってどれくらいの利益を生み出す可能性があるのか、そこを見て予算をつけるかどうかを判断します。会社の理解と納得を得られる収支計画を立てることが求められます。

ケース3:事業パートナーとの提携

新規事業をはじめるにあたって、協力を要請する事業パートナーが存在する場合、その事業パートナーを説得するための資料として必要になることがあります。

パートナー企業にとっては新規事業がうまくいくのかどうか、提携することでどれくらいの利益が期待できるのかが重要な点になります。

スムーズに提携を進めるためには、パートナー企業にもメリットがあることを事業計画と収支計画でしっかり伝えることが大切です。

本サイトの運営ならびに記事の執筆を行っているムーンプライドでは新規事業の立ち上げや推進に関するコンサルティングサービスを提供しております。

大手企業における新規事業企画、事業の推進支援やパートナー企業との共創事業支援、DX営業支援などを行わせていただいており、ご興味のある方は本サイトの案件登録フォームからお問い合わせください。

また、大手ファーム出身のコンサルタントも募集しておりますので、案件をお探しの方はfirmgradsからご登録をお願いいたします。

収支計画書の必要要素と書き方

収支計画書の必要要素と書き方

収支計画書作成にあたっては、まず必要経費を基にして組み立てていくことが肝心です。

当たり前ですが事業で収益を出すには、収入が支出より多くなければいけません。

そのためには、まず支出がどれくらいあるかを考えることからスタートしましょう。

要素1:固定費

まず毎月出ていく固定費を把握します。

固定費には「従業員の人件費」「役員報酬」「光熱費・家賃」この他にも広告宣伝費、交通費、減価償却費、支払手数料などがあります。

固定費は、たとえ収入がゼロになっても毎月確実に出ていく費用ですから、できるだけ抑えることが望ましいでしょう。

要素2:変動費

固定費の次は変動費を見ます。

変動費とは売上に比例して発生する費用のことです。

例えば製造業であれば、商品が売れて売上が上がると、それに比例して増える仕入れや材料費が変動費にあたります。

また、サービス業で業務の一部を外注していたりすれば、忙しさに比例して増える外注費が変動費にあたります。

要素3:粗利と粗利率

粗利とは、売上総利益とも呼ばれ、売上高から売上原価を引いたものをいいます。

また粗利率は売上高に占める利益の割合です。

粗利率の算出方法は、例えば定食屋さんが焼肉定食を800円で販売していて食材費である売上原価が500円、粗利が300円(800円-500円)とすると、粗利率は300円÷800円=37.5%となります。

粗利率を把握しておくと収益の目安を把握しやすくなります。

要素4:利息、返済額

金融機関から融資を受ける場合は、営業外収支欄に返済額と利息額を記載します。

いくら融資を受けて、借入金額を何年で返済し、月々の返済額をいくらにするか、慎重に検討します。

利息については固定金利と変動金利がありますが、変動金利の場合は、現状が低金利でも少し高めの2~3%に設定しておくことをすすめします。

要素5:売上高

支出の洗い出しが終わったら、最後に収入となる売上高を考えます。

売上高を考えるには、事業を継続する上で必要最低限の売上高、つまり損益分岐点売上高を把握することが重要です。

損益分岐点売上高は、ここまで見てきた固定費、利息、返済額、粗利率を使って算出することができます。

  • 損益分岐点売上高={固定費+(返済額+利息)}÷粗利率

損益分岐点売上高は、これを上回ると黒字、下回ると赤字になるという金額です。

赤字が続けば事業を継続できなくなるだけでなく、そもそも新規事業の実行が認めてもらえません。

ですから、収支計画書では、この損益分岐点売上高をもとに黒字になる売上高の計画をつくる必要がありますが、目標とする売上高が夢物語ではないことを示す根拠を明示しなければなりません。

事業計画とも連動してきますが、例えば小売業であれば、店舗を出店するエリアの競合他社などを参考に客数や客単価を設定し、売上高を予測します。

この予測の根拠となるデータなどがしっかりしたものであれば、実現可能性の高い収支計画書となります。

また、新規事業に季節性がある場合、販売の低迷する月なども考慮に入れた収支計画をつくることも大切です。

季節性は意外と失念しがちですので、注意しましょう。

収支計画書の作成時のポイント

収支計画書の作成時のポイント

収支計画書を作成するときには、厳しい目線で考えるのがポイントとなります。

厳しい目線で考えても事業を進められるというのであれば、その事業の成功する可能性が高いと判断していいでしょう。

ポイント① 必要な売上高を確保する明確な根拠を示す

前項でも述べましたが、収支計画の売上高を考える際には、明確な根拠を示さなければなりません。

きちんとデータを集め、そこから適正な販売価格を設定し、必要があれば固定費・変動費の見直しをすることまで考えましょう。

ポイント② 事業開始から3年先までの予測を立てよう

変化が激しく、先の見通しは立てにくい時代ではありますが、その変化についていくためにも3年先のまでの収支計画をシミュレーションすることをおすすめします。

可能であれば、順調に進んでいるケースと最悪のケースなど、パターン分けしたシミュレーションがあるといいでしょう。

最悪のケースも事前に想定しておくことで対策を練り、事業継続のためにすべきことを計画に盛り込むことができます。

ポイント③ 正確な将来予測を

収支計画の将来予測は、明確なロジックに基づいて行う必要があります。

書籍などには業界予測や未来予測をしているものものありますが、それらに自社の事業をあてはめるのではなく、あくまでも事業を取りまく客観的なデータの調査・分析に基づいた明確なロジックに従って収支計画の作成・見直しを繰り返しましょう。

収支計画書の作成例・無料テンプレート

収支計画書の作成例・無料テンプレート

インターネット上では、収支計画(一部には事業計画書)のテンプレートが数多く公開されています。

例えば「収支計画書 テンプレート 無料」と検索してください。

多くは無料ですが、中には有料、無料で使うためには会員登録(無料)が必要な場合もあります。

参考になるものを下記に挙げておきましょう。

【ビズ研】https://biztemplatelab.com/template/business-plan-template/

【スモビバ】https://sumoviva.jp/article/1000393

【マネーフォワード】https://juno-e.com/excel-free/?page_id=3507

また当社においても過去のコンサル経験から生まれたノウハウを蓄積、収支計画および事業計画作成のご相談を承っております。

各種テンプレートもご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

収支計画書は、金融機関から融資を受ける場合、社内で新たに新規事業を始めるにあたって会社から予算を獲得するときに必要な書類です。

また、それだけにとどまらず収支計画書でお金の流れをきちんと考え、明確化することによって見えてくるものがたくさんあります。

新規事業を軌道に乗せ、利益を生み出す強い経営体質を目指すためにもしっかりとした収支計画書をつくりましょう。

不明なこと疑問に思うことは私共プロの経験が生かせますので、お気軽にご相談ください。

本サイトの運営ならびに記事の執筆を行っているムーンプライドでは新規事業の立ち上げや推進に関するコンサルティングサービスを提供しております。

大手企業における新規事業企画、事業の推進支援やパートナー企業との共創事業支援、DX営業支援などを行わせていただいており、ご興味のある方は本サイトの案件登録フォームからお問い合わせください。

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執筆者紹介

河上 祐毅

ムーンプライド 取締役

アクセンチュアの戦略グループで通信・メーカー・メディア企業を中心に支援、クライアントチームへ転部を経て10年間在籍の後にマクドナルドにてプロモーション効果分析や消費者調査を担当。ムーンプライドではヘルスケア・通信・ハイテクメーカーを中心にDX営業、新規事業立ち上げ、デジタルマーケティング領域で支援を実施。

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