ストック型ビジネスとは?フロー型との違いとメリットを実例とともに解説

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ストック型ビジネスは、顧客との契約によって定期的に商品やサービスを提供し、継続的な収入を得るビジネスモデルです。

近年話題のサブスクリプションサービスにも通じるモデルであり、中長期的な経営戦略を立てやすいとされています。

今回はストック型ビジネスについて詳しく解説するとともに、フロー型ビジネスとの違いやメリット、実際に成功したストック型ビジネスの事例などを解説していきます。

ストック型ビジネスとは?

ストック型ビジネスとは?

ストック型ビジネスとは、顧客との契約によって継続的・安定的に収入を得るビジネスモデルです。

近年のストック型ビジネスの例を挙げると、アマゾンプライムやネットフリックスのようなサブスクリプションサービスがわかりやすいでしょう。

厳密には、ストック型ビジネスは継続的な収益を得るビジネスモデル全般を指し、サブスクリプションはストック型ビジネスの中から、具体的に事業内容を限定したものと考えてください。

日常生活に関連するものでは、ガス・水道・電気などのインフラ事業や学習塾、スポーツジム・ゴルフクラブの会員などもストック型ビジネスに当てはまります。

顧客と契約を結び、毎月定額の使用量を徴収することで、資産が蓄積していくことからストック型と呼ばれます。

契約1つあたりの単価は安いものの、新規顧客が増えれば安定した収入源となり、商品をその都度売買するフロー型よりも将来予測もしやすいことから、人気のあるビジネスモデルです。

特に、2020年から国内で流行した新型コロナウイルスの影響もあり、安定した収益を期待できるストック型ビジネスを展開する企業は大きく増加しました。

サブスクリプションサービスについては以下の記事で更に詳しく解説しています。

【関連記事】サブスクリプションとは?定額制との違いやメリット/デメリットを実例を元に解説

ストック型ビジネスとフロー型ビジネスの違い

ストック型ビジネスと対になるビジネスモデルとして、フロー型ビジネスがあります。

フローとは「流れ」を意味し、商品やサービスを流動的に提供し、売上もその都度変わります。

フロー型ビジネスの場合は、顧客が毎月定額の支払いを行うのではなく、必要な時に商品やサービスを購入し、売上も需要によって大きく変わるビジネスモデルです。

日常生活で身近な例としては、スーパーやコンビニなどの小売店、カフェやレストランなどの飲食店がわかりやすいでしょう。

ただしストック型ビジネスもフロー型ビジネスも和製英語であり、海外では通用しない点に注意してください。

海外でストック型ビジネスは「Recurring revenue model」、フロー型ビジネスは「One-time-fee business model」と呼ばれます。

 

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ストック型ビジネスのメリット

ストック型ビジネスのメリット

ストック型ビジネスの具体的なメリットについてもご紹介します。

メリット①収益が安定する

ストック型ビジネスの最大のメリットが、顧客との契約によって継続的かつ安定的な収益を得られることです。

大きな収益を期待することはできませんが、一度契約すれば長期間継続されることが前提となっているため、企業収益を安定させることができます。

また顧客との契約によって行動データや嗜好が把握しやすく、サービスの質の向上にもつなげられます。

蓄積した顧客データを活かして、さらに安定した商品・サービスが提供できるという好循環が期待できます。

メリット②営業活動に割く時間が少なくなる

ストック型ビジネスでも営業活動は必要ですが、フロー型ビジネスに比べて営業活動に割くリソースが少なくて済むビジネスモデルです。

フロー型ビジネスは、収益性を向上させるには新規顧客の獲得が必須で、そのためには多くの営業活動を行わなければなりません。

一方ストック型ビジネスの場合、新規顧客を獲得することよりも既存顧客の信頼や成長に重点を置くことから、営業活動よりも顧客へのフォローが重要です。

マーケティングにおける「1:5の法則」の法則にも当てはまりにくく、広告に割く人員やコストを削減できます。

営業活動のできる人材の少ない中小企業こそ、ストック型ビジネスを活かしたビジネスモデルに向いているでしょう。

メリット③将来性を予測しやすい

ストック型ビジネスは経済状況を含む外的要因に影響されにくく、安定した収益を継続的に得られることから将来にわたって売上を予測しやすい点もメリットです。

顧客が一定数に達していれば毎月の収益が予想しやすく、退会や休会のようなリスクも少ないことから、事業を拡大する際にも計画を立てやすいビジネスモデルになっています。

ストック型ビジネスの具体例

ストック型ビジネスの具体例

ストック型ビジネスのメリットが理解できたところで、具体的にどのようなビジネスがあるのか例をご紹介します。

例①定期購入

定額購入とは、毎月決まった料金を支払うことで、定期的に一定の商品を購入できるサービスです。

ストック型ビジネスの最も基本的な形で、相性の良いサービスといえるでしょう。

顧客が企業と契約を結び、毎月または年間の料金を支払い、定期的に企業の商品を購入できます。

代表的な例はウォーターサーバーやサプリメント、スキンケア商品などです。

継続購入の場合は割引やポイントも付与され、支払いが安くなるほか、同社の他の商品をポイントで購入することができるといったメリットもあります。

ストック型ビジネスの中でも歴史の古いサービスで、営業活動が少なくても、高効率でビジネスを拡大できます。

また必要に応じて顧客にアンケート調査を行えば、自社のサービス向上につながるデータ収集もできるため、企業にとってのメリットも多いです。

例②レンタル・サブスクリプション

近年増えているストック型ビジネスの1つとして、レンタルやサブスクリプションサービスもあります。

時代の変化と共に大量消費の時代が到来し、トレンドの移り変わりも激しくなりました。

人々の意識も所有や購入から、安く利用することへシフトし、レンタルやサブスクリプションの人気が高まっています。

毎月の基本料金を支払ってレンタルやサブスクリプションを利用するほか、自分の気に入ったものがあれば、課金して購入するという顧客も多くなっています。

代表的な例としては、TSUTAYAのビデオ・DVD・CDレンタル、アマゾンプライムやオーディブルなどです。

企業としては、大量に商品を発注することで購入時のコストを抑え、レンタルで多くの顧客から収入を得られるため、収益を上げやすいビジネスモデルです。

例③教室・講座

毎月の月謝を支払う教室や講座も、ストック型ビジネスの形の1つです。

学習塾やパソコン教室、eラーニングでの講座など、毎月生徒に学びというサービスを提供する対価として、安定した収入を得られます。

近年は少子化で学習塾などの生徒数減少が懸念される反面、通信講座で資格取得を目指す方が増えており、需要は変わらず多い状態です。

またオンラインでの講座が普及したことで、企業の研修をオンラインやeラーニングで提供する事業も需要が高まっており、低コストで一定の収益を上げられるようになっています。

 

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フロー型ビジネスのメリット

フロー型ビジネスのメリット

次に、フロー型ビジネスのメリットについてもご紹介します。

メリット①外的要因による収益性が高い

フロー型ビジネスは、商品を売買することで収益を上げるビジネスモデルです。

そのため、マーケティングや口コミで知名度が高まれば、すぐに収益が上がりやすいというメリットがあります。

また倒産や不況がなく、経済状況が安定していれば収益も安定しやすく、安定した経営を続けられます。

近年はSNSでインフルエンサーや著名人を利用したマーケティングを行い、収益性向上につなげている企業も珍しくありません。

メリット②即金性が高い

フロー型ビジネスは、買い切りで利益を上げられます。

ストック型ビジネスに比べると日々の収益があるため、即金性の高いビジネスモデルです。

一定以上の収益を目指すには店舗を増やすか、取り扱う商品の数量と質を高める必要こそありますが、売買の利益を商品やサービスに転換しやすいです。

安定した顧客を得られれば、非常に高い収益性が期待できます。

メリット③準備金が少ない

フロー型ビジネスは、ストック型ビジネスに比べて収益性と即金性が高いため、準備金が少なく済む点もメリットです。

例えばストック型ビジネスの場合は、中長期で顧客を獲得しなければ、安定した収益性は見込めません。

これは顧客一人あたりの単価が安いためです。

一方、フロー型ビジネスは顧客が必要な商品・サービスをその都度購入するため、顧客から得た収益で別の商品を購入できます。

そのため、少ない費用でも始めやすく、短期的な視点では準備金が少なくて済みます。

【関連記事】新規事業を立ち上げるときに知っておきたいポイント4選!プロセスもステップごとに解説

フロー型ビジネスの具体例

フロー型ビジネスの具体例

メリットに続き、フロー型ビジネスの具体例についてもご紹介します。

例①小売業

日常生活に身近なフロー型ビジネスの例としては、小売業がわかりやすいでしょう。

コンビニやスーパー、デパートなどで商品を販売するのが小売業です。

ものを販売する対価として現金を得るビジネスモデルで、景気の良し悪しにも左右されます。

販売するものは異なりますが、飲食店や美容室なども料理やサービスを提供して対価を得ています。

フロー型ビジネスの代表的なモデルで、外的要因によって大きな収益が期待できるビジネスモデルです。

例②クリエイティブ系

クリエイティブ系とは、Web制作や漫画家、音楽家など独自の作品を提供するビジネスモデルです。

基本的に単発での案件が多いですが、1回あたりの単価が大きく、人気が出れば億単位の収入を得ることもあります。

近年はIT業界のクリエイティブ職の人気が高く、スキルを身に付けようとする人が多いです。

例③士業

士業とは、弁護士や税理士、司法書士などの特定の国家資格を有する人だけが提供できるサービスです。

士業には名称独占と呼ばれるものがあり、資格を持つ人しか名乗ってはならず、勝手に名乗ると法律違反になります。

独自のサービスを提供することに加え、顧客から依頼を受けて、その都度仕事を行うフロー型ビジネスの1つです。

ストック型ビジネスの成功事例

ストック型ビジネスの成功事例

ストック型ビジネスで実際に成功した事例についてもご紹介します。

生協

生協は食料品から日用品まで、さまざまな品物をネットや注文書で購入できる定期購入型のビジネスモデルです。

購入できるものには生鮮食品や惣菜・冷凍食品のほか、細々とした雑貨や日用品もあるため、生活に必要な物は一通りそろえられます。

毎週決まった曜日と時間帯に注文した物が届くため、買い物する時間がない方が利用しやすいサービスです。

仕事で忙しい共働き世帯や、移動手段のない高齢者から需要が高いサービスになっています。

Adobe

AdobeはPhotoshopやIllustratorなど、ソフトウェアをパッケージ販売していました。

しかしパッケージ販売では単価が非常に高く、クリエイターなどのプロの需要は高いものの、それ以外のユーザーには購入の敷居が高いという点が問題でした。

そこでAdobeは誰でも気軽に利用できるように、ソフトウェアをサブスクリプション制にして、アップデートも含めたフォロー体制を充実する方針に切り替えました。

またサービスをクラウド化することで、ユーザー間のファイル共有もスムーズにできるようになり、サービス自体の信頼性も高まったことでシェア拡大に成功しました。

Adobeとしても、買い切り型で収益性が不安定なフロー型よりも、ストック型に切り替えたことで、顧客に質の高いサービスを提供できるようになったというメリットがあります。

フロー型からストック型に切り替え、世界的にも成功を収めた事例といえるでしょう。

まとめ:企業の提供するものによってビジネスモデルを選ぼう

ストック型ビジネスとフロー型ビジネスには、それぞれ一長一短があります。

短期的な収益を狙うならフロー型、中長期での安定性を狙うならストック型の方がおすすめです。

また企業の提供するものによっては、ストック型では見合わないものもあるでしょう。

自社の商品・サービスに合わせて、ビジネスモデルも最適なものを選ぶことが売上向上の鍵です。

自社のビジネスモデルに悩んでいる担当者の方は、ぜひコンサルティングサービスの「TACHIAGE」にご相談ください。

それぞれの企業の特徴、市場規模、インフラなどの条件に合わせて、最適なプランを提案させていただきます。

 

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執筆者紹介

中村 基樹

アクセンチュアに25年在籍後創業、主にハイテク製造業、通信、不動産、自治体のお客様の経営課題解決に尽力。新規事業・成長戦略、デジタル・IoT戦略、営業改革、SCM・調達改革、IT戦略・構築、業務・ITアウトソーシングなど、数多くのコンサルティングサービスを提供。

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