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成熟市場とは、市場においてほとんどの世代が同一の物を買い揃え、商品が幅広く普及した市場の状態を指します。
ほとんどの消費者が必要な物を保有しているため、需要は買い替えや買い増し程度で、急速な成長が期待しにくい点が特徴です。
今回は、成熟市場の考え方や企業が成熟市場でも成長するために必要な戦略、成熟市場でも他社との差別化で利益を伸ばした実例などを詳しく解説していきます。
成熟市場とは?
成熟市場とは、ほとんどの市場において商品やサービスが幅広い世代のニーズを満たし、高い普及率に至った状態を指します。
この状態の市場では、消費者の購買意欲は低く、購入するとしても買い替えや買い増しなどの限定的な需要しかありません。
成熟市場では、同一カテゴリの製品・サービスの所有者が増え、製品も多様化することで競争相手も多くなり、最終的に価格競争に陥ります。
この状態では、成長期にある市場と比べて、他社と比較した際の優位性が確立しにくく、市場におけるシェアを伸ばすことも困難です。
成熟市場における競争戦略の3つの考え方
成熟市場における競争戦略について、3つの考え方をご紹介します。
ポイント①自社のファンを増やす
成熟市場に至った時、他社との競争で優位に立つには、まず顧客に自社のファンになってもらうことが重要になります。
例えば、スマートフォンを例に考えればわかりやすいでしょう。
スマートフォンの黎明期には、より高性能で携帯しやすく、機能性も豊富なものが市場で優位性を獲得していました。
しかし近年は日本メーカーは次々とスマホ事業から撤退し、iPhoneが日本市場を席巻しています。
すでにスマホ市場は機能性で差別化することは難しく、価格面での差別化を行うしか競争における優位性はありません。
スマホ市場におけるiPhoneのように、成熟市場で利益を得るには、自社のファンをつけていくことが競争戦略で鍵になります。
ポイント②スモールスタートでPDCAを回す
次に、新規事業を小さくスタートして、そこからPDCAを回す方法も重要です。
成熟市場の競争で勝つには、他社にないサービスや商品を用意する必要があり、大規模にスタートするとリスクを伴います。
だからこそ、試験的に1つの店舗で新サービスを実施し、PDCAを回すことで徐々に事業規模を拡大していく戦略です。
また小さく事業展開するからこそ、スムーズな評価と機動力の高い運営が可能で、市場のニーズに対して敏感に対応できます。
ポイント③グループ内でシナジー効果を生み出す
最後に自社の事業同士のシナジー効果を生み出すことです。
各事業が独立していると、新しいサービスを開発するきっかけがなく、手詰まり感が生まれてしまいます。
不採算部門があったとしても切り捨てるのではなく、他の部門と情報を共有することで、事業同士が協力してシナジーを生み出せる体制作りを進めましょう。
また別の事業同士が組み合わさることで、新たな成長市場に活路が見いだせる可能性もあります。
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成熟市場において新規事業が成功した企業事例3選
成熟市場において、新規事業が成功した企業の事例をご紹介します。
事例①株式会社ティップネス
株式会社ティップネスは、24時間営業のフィットネス事業を運営する企業です。
2013年からアルバイトを中心に店舗を運営し、6年ほどで100店舗を超えるところまで急成長しました。
2019年当時は同業他社を店舗数で大きく引き離しました。
しかし元々は新入社員の離職率が非常に高く、運営が上手くいっているとはいえませんでした。
ティップネスの場合は、社員教育のシステムを変更し、遠隔マネジメントや緊急対応の体制を見直したことで、離職率が大幅に低下しました。
フィットネス業界は、非常に参入が難しい業界とされています。
その理由として、フィットネス業界の市場規模が20年間でほとんど伸びておらず、新規参入する企業もほとんどいなかったことが大きくあります。
ティップネスは24時間ジムという形で、成熟市場でも収益を向上させています。しかしその背景には「Cueves(カーブス)」という女性向けフィットネスの存在が大きかったといえます。
カーブスは新規参入でありながら、14年ほどで80万人の会員数を獲得し、日本全国に店舗を展開しています。
ティップネスはカーブスの戦略を参考に、自社だけの経営戦略を展開した結果、成熟市場においても成長を続けることができました。
事例②ホリイフードサービス株式会社
ホリイフードサービス株式会社は、北関東を中心に居酒屋「忍家」を展開しています。
ホリイフードサービスは、最盛期の営業利益から10分の1まで需要が落ち込むほどのどん底を経験しましたが、顧客満足度を上昇させることでV字回復を実現しました。
ホリイフードサービスは一時期急速な出店を繰り返した結果、人材不足を引き起こし、その結果売上が減少するという問題に直面していました。
業態転換を狙いましたが上手くいかず、結果としてTBIという会社からの買収を機会に、運営体制が大きく変わっています。
従来の身内経営のような風土を脱し、会長・社長・役員に社内外からバランスよく人材を採用し、より良い経営ができる組織作りを進めました。
事業面では、社内で5つのプロジェクトを立ち上げ、隔週の分科会でそれぞれの成果を報告・相談する体制を取りました。
その結果、一番の問題は不採算店舗の存在と人手不足の問題となり、不採算店舗については撤退せざるを得ませんでした。
また広告による販促の改善、メニューの目玉の開発、従業員のインセンティブ制度、社員向けのイベント開催など、従業員と顧客双方の満足度を意識しました。
こうした社内努力により、落ち込んでいた売上がV字回復するに至りました。
事例③株式会社マーフィード
株式会社マーフィードは、家庭・オフィス・商業施設などに向けて浄水器を販売している企業です。
浄水場淡水化事業やペット家電事業なども運営しており、水に関する高品質のサービスを提供しています。
マーフィードの販売する飲料水や浄水器は、他社とは違って天然水に近いものである点が特徴です。
浄水器や飲料水事業では、他社がミネラル分や名産地の天然水をアピールする中、水道水を天然水と同じ水準にすることで差別化を図りました。
マーフィードは人間の身体にとって、ミネラルの過剰摂取は負担が大きいとして、日頃から飲用する水道水を天然水に近いものにすることを重要視しました。
経営戦略が功を奏し、マーフィードは成熟市場でも安定した成長を続けています。
まとめ:成熟市場では差別化とマーケティング戦略を意識しよう
本記事では、成熟市場とは何か、競争戦略や考え方、成功した事例などを解説しました。
成熟市場では、新規参入の企業がシェアを伸ばしていくのは非常に難しいのが実情です。
しかし新規参入であっても他社との差別化を図れば、顧客のニーズを発掘し、シェアを拡大することができます。
一方で、元々成熟市場で活躍していた企業であっても、経営戦略のミスやニーズを正しく読み解けなければ、営業利益を落としてしまう原因になります。
また今回紹介した事例のように、マーケティング戦略として広告を有効活用することも非常に重要です。
一見すると成熟市場のようでも、発掘できていない潜在顧客がいる可能性はあります。
近年はテレビCMだけでなく、SNSや動画広告の効果も大きいとされ、Webマーケティング戦略を重視することも正しい戦略の1つです。
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