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目次
既存事業以外に新規事業を手がけるため、企業内に独立した組織を構築する社内起業「社内ベンチャー」が大きな注目を集めています。
実際に、日本国内でも数多くの有名企業が社内起業制度を導入しています。
今回の記事では社内起業の概要をはじめ、メリット・デメリット、制度導入時のポイントを詳しく解説します。
また、制度を導入した企業の成功事例も集めました。
社内起業(社内ベンチャー)とは?
社内起業とは、企業内で新たな商品・サービス・事業を生み出すために設立される独立した組織のことです。
別名「社内ベンチャー」とも呼ばれ、ベンチャーとは「独自の発送や技術を用いて大手企業では着手が難しい新規ビジネスに着手する冒険的かつ野心的な企業」を指しています。
子会社と混同されやすい社内起業ですが、子会社の場合は親会社と別法人になるため、自由に経営判断や事業運営をおこなうことが可能です。
ただし最終的な経営・運営の意思決定は、株主総会(意思決定機関)に委ねられています。
社内起業の場合、親会社と同じ資本の組織となるため、子会社ほど自由がありません。
一般的に事業部単位で設立され、その成果次第で分社化(子会社や完全独立会社)するケースが大半です。
この社内起業を足がかりに新規ビジネスを創案する取り組みを「社内起業(ベンチャー)制度」と呼び、日本国内でも多くの企業が採用しているシステムです。
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社内起業がもたらす効果・メリット
企業内で新しいビジネスを生み出すことを目的とした社内起業ですが、この制度を導入した場合、企業にどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは、社内起業がもたらす具体的な効果を解説します。
メリット①新規ビジネスに挑戦できる
社内起業制度を導入すれば、既存事業以外の新規ビジネスに挑戦することができます。
新規ビジネスが軌道に乗った場合、主力事業に転換することも可能です。
このように複数の事業を展開することで、将来的に既存事業の市場が大きく変化したときでも、リスクを分散させることができます。
もちろん新規事業が成果を出せば既存事業にも好影響を及ぼすため、相乗効果で企業の発展に期待が持てるでしょう。
メリット②利益拡大を狙える
企業が成長する過程において、既存事業の継続以外に新規事業の展開が重要な施策です。
社内起業による新規ビジネスが軌道に乗れば、新たな市場の収益源を確保できることから、既存事業以外の利益も見込めるようになり、企業の利益拡大や業績向上を狙えます。
市場の変化を読んで新たな分野に参入するため、伸びしろが大きい点もメリットです。
メリット③企業の風土改革
既存事業のみに依存した場合、企業の持続的成長を実現させることは困難です。
ましてや中長期的な未来が予測不能な現代では、既存事業だけに頼っていると目まぐるしい市場の変化についていけず、経営危機に陥る可能性も否めません。
しかし社内起業制度を活用すれば、その挑戦的かつ積極的な姿勢が企業の経営にも色濃く反映されるようになります。
結果的にポジティブな企業の風土改革へとつながり、新規事業に参入できるチャンスが増えるでしょう。
メリット④従業員のモチベーションアップ
社内起業に参加した従業員は、基本的にチャレンジ精神を持って新規事業の設立に臨んでいます。
そのため、業務に対するモチベーションを高く維持できる点が特徴です。
新規事業に対する従業員の意欲や情熱は、新たな収益源の確保だけではなく「企業を活発化させる」「新たな才能の発見」「従業員の離職率を下げる」「採用コストの削減」など、企業に多くのメリットを生み出します。
メリット⑤経営者視点を持った人材の育成
社内起業で組織の責任者に就任すれば、おのずと経営者視点を持った優秀な人材が育っていくことになります。
仮に新規事業の成果を上げられない場合でも、その経験がイノベーション創出やマネジメントスキルの習得などにつながるため、将来的に企業の経営を任せられる幹部候補を育成できるのです。
社内起業制度の導入は、従業員的に経営者としてのキャリアを積める、企業的に自社の経営を委ねられる人材育成が可能といったWin-Winのメリットがあります。
社内起業がもたらすデメリット
社内起業制度の活用は、新規事業への参入や利益拡大、人材育成など、企業に数多くのメリットをもたらしてくれます。
その反面、資金や権限の制限、失敗の可能性といったリスクも否めません。
ここでは、社内起業制度を導入した際のデメリットを見ていきましょう。
デメリット①必ずしも成功するとは限らない
実際に社内起業をおこなう場合、最も懸念されるデメリットが失敗の可能性です。
一般的に社内起業では、既存事業と異なる新規ビジネスに参入します。
しかし「市場や顧客のニーズを読み違える」「既存事業のノウハウを活かせない」などの施策失敗も考えられるため、必ずしも成功するとは限らないのです。
結果的に投入した資金を回収できず、大きな損益を被るケースも珍しくありません。
デメリット②資金や時間がかかる
新規事業の立ち上げには、想像以上のエネルギーを費やすことになります。
これは新たな収益源獲得に向けた部署の設立や人員選抜、具体的な企画や開発などの施策を構築するなど、莫大な資金や時間がかかるからです。
もちろん新規事業が軌道に乗るまでの間も、すぐに利益が出ないことを想定し、相応の投資額を準備する必要があります。
デメリット③権限が制限される
基本的に企業の管理下へと置かれる社内起業した組織は、運営の意思決定を上層部に委ねることもあり、企業の意向で施策が決定されることも少なくありません。
つまり企業から独立した組織とはいえ、すべてを自由にできるわけではないため、権限が制限されるのです。
この点が、社内起業に参加した従業員の意欲を下げてしまう原因になります。
デメリット④過度なプレッシャー
新規事業の設立に膨大な資金や人員を投入した企業としては、早期に成果を上げてほしいと考えています。
そのため、社内起業に参加した従業員に過度なプレッシャーを与えてしまう可能性もあるでしょう。
そうなれば「過剰なストレスを感じる」「積極的な行動や発言ができない」「生産性の低下」などの原因となり、従業員の大量離職や新規事業の失敗を招く結果となりかねません。
デメリット⑤既存事業への負担
社内起業を成功させるため、既存事業から優秀な人材を抜擢するケースが大半です。
しかし優秀な人材を外された既存事業の運営や業績が悪化する可能性もあり、既存事業が抱える負担は想像以上に大きくなるかもしれません。
また新規事業が軌道に乗るまでの間は、資金面でも既存事業に与える負担が大きくなります。
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社内起業制度を導入する際のポイント
実際に社内起業制度を企業へ取り入れる場合、どのような点に配慮が必要となるのでしょうか?
ここでは、社内起業制度を導入する際のおもなポイントを解説します。
ポイント①報酬や給与の基準を明確化
社内起業制度を導入する場合、事前に報酬や給与の基準を明確にしましょう。
たとえば「収益化の確立」「市場開拓」などの具体的な目標を定め、それに見合った成功報酬や給与、待遇を定めておくのです。
新規事業の設立では、スピード感を重視する必要があります。
そのためにも、スタートとゴールを設定すると同時に、相応の見返りを明確にしておけば、組織一丸となって動くようになるでしょう。
ポイント②独立した組織にする
あくまでも既存事業から独立した組織を構築することです。
社内起業の導入は、既存事業が挑戦できない難しい新たなビジネスに着手することが目的です。
経営陣や既存部署などが必要以上に関与すれば、社内起業の成長を妨げ、投入した資金や人材を損失する可能性もあるでしょう。
将来的に利益を得るためにも最小限の権限を与え、独立した会社機能を実装させてください。
ポイント③セーフティーネットの構築
いくら独立した組織を形成するとはいえ、社内起業の参加者に運営責任を丸投げすることはできません。
そのためセーフティーネットの構築も、社内起業制度を導入する際の重要なポイントです。
具体的には「新規事業の設立に向けたサポーターの設置」「失敗した際の対応」などをあらかじめ示しておきましょう。
これにより、社内起業の参加者が安心して新規事業へ挑めるようになります。
社内起業制度の成功企業事例
日本国内でも社内起業制度を導入し、成果を上げている企業が数多くあります。
その中には、資金を投入した企業内の新事業部に留まらず、独立した後に名を馳せた会社も少なくありません。
ここでは、社内起業制度の活用に成功した企業事例をご紹介します。
事例①リクルートホールディングス
求人広告や人材紹介、人材派遣などのサービスを手がけるリクルートは「New RING」という新規事業提案制度を設けています。
これにより「ホットペッパー」「ゼクシィ」「R25」「スタディサプリ」など、リクルートの主力となる数々の新事業が生まれました。
事例②サイバーエージェント
事業育成と人材育成を目的とした「CAJJプログラム」を設けている企業が、インターネット広告事業を展開するサイバーエージェントです。
この制度を利用し、これまでに「Cygames」「サムザップ」「CyberZ」「CAリワード」などの新事業が設立されています。
事例③ディー・エヌ・エー
多様なベンチャー企業と事業提携するインターネット関連企業のディー・エヌ・エーは、新規事業コンペティションにも積極的な姿勢を見せる会社です。
社内をはじめ、社外の一般人や学生に対しても門戸を開き、新規事業のアイデアを応募しています。
まとめ:社内起業制度の導入には柔軟性と寛容性が必要
社内起業とは、新規事業を生み出すために設立する独立した組織を指します。
先行きが不透明な現代において、既存事業での参入が難しい市場の開拓、新たな収益源の確保、企業の風土改革、幹部候補の育成などが期待でき、資金や人員・時間などの問題をクリアできれば魅力的なシステムといえます。
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