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目次
ニッチな市場に自社独自の強みで優位に立つ戦略「ニッチトップ戦略」は、高成長が続くこともありさまざまな方面から注目を集めています。
そこでこの記事では、ニッチトップ戦略にスポットを当て、その意味やメリットやデメリットを解説します。
また日本企業の成功事例や、新規事業立上げにおけるニッチ市場参入のポイントもご紹介します。
ニッチトップ戦略とは?
「ニッチトップ戦略」とは、自社独自の強みを活かせるニッチな市場を選び、シェアを拡大・独占していく戦略のことをいいます。
他社との違いを打ち出すことで差別化を図れることから、シェア1位を目指します。
大きな市場で勝負するとなると、大企業にシェアを奪われることが多く、中小企業の場合は大企業を警戒し、対策を常にしなければならないのがネックです。
またライバル企業が多いため、価格競争が激化し、収益率が下がることがあります。
しかしニッチトップ戦略がうまくはまれば、大企業やシェアトップの企業を警戒する必要もなく、価格競争に巻き込まれることもなく、シェアを拡大・独占することができるでしょう。
ニッチトップ戦略をとる3つのメリット
ニッチトップ戦略をとるメリットには、
- 価格競争に巻き込まれず、高い収益性が実現できる
- 広告・マーケティング施策コストを抑えることができる
- 人材採用・人材教育コストの削減
があります。それぞれ3つの詳細を解説していきましょう。
メリット①価格競争に巻き込まれず、高い収益性が実現できる
ニッチトップ戦略を導入すると、高い収益性が実現できるのがメリットです。
ニッチな市場では、ライバルとなる企業が少ない、またはいないため、市場シェアの寡占度を高められます。
またライバルが少なければ、価格競争に巻き込まれることもないため、自社の希望通りの価格で商品やサービスを販売できるのです。
これらのことから、高い収益性が実現できます。
メリット②広告・マーケティング施策コストを抑えることができる
競合がひしめく大衆的なマーケットでは、消費者に認知されるために広告やマーケティング施策に大幅なコストを割く必要があります。
しかしニッチな市場では、ライバル企業が少なかったり、そもそもライバル企業がいなかったりすることから、広告やマーケティング施策のコストを最小限に抑えられるのがメリットです。
またその市場で「なくてはならない商品・サービス」といった地位を確立していれば、広告を展開せずとも認知されやすくなるでしょう。
こうした削減したコストや増えた利益は、新たな商品・サービス開発やPRに使うことができ、さらに商品価値を高められます。
そうすればさらに認知度が高まり、売上や集客を伸ばせます。
メリット③人材採用・人材教育コストの削減
ニッチトップ戦略は、人材採用や人材教育コストが削減できるのもメリットとして挙げられます。
ニッチな市場であるがゆえ、そもそもの求人が少なくなり、その分野・業界で働くことを希望する人が自社に集中することが考えられます。
そうなると、人材採用にかける期間やコストも削減できるでしょう。
また優秀な人材が集まりやすいため、入社後の人材教育に余計な時間を費やしたり、コストを割いたりすることも減るでしょう。
ニッチトップ戦略をとる3つのデメリット
ニッチトップ戦略にはメリットがある一方で、次のようなデメリットも存在します。
- 選んだマーケット自体が成長しない可能性がある
- ライバル企業が参入する可能性がある
- そもそもマーケットが存在しない
各デメリットの詳細を解説していきます。
デメリット①選んだマーケット自体が成長しない可能性がある
ニッチトップ戦略は、選んだマーケット自体が成長しない可能性があることがデメリットです。
ニッチトップ戦略ではライバル企業が少ない、またはいないマーケットを選ぶことがポイントとなりますが、裏を返せば大きな利益を見込めないマーケットと判断され、参入者が少なくなっている可能性もあります。
そのためマーケットを選ぶときには、どのような需要があるのか入念にリサーチした上で進める必要があるのです。
デメリット②ライバル企業が参入する可能性がある
ニッチトップ戦略の2つ目のデメリットは、ライバル企業が参入する可能性があることです。
ニッチトップ戦略により事業を軌道に乗せ、マーケットが拡大していけば、これまで参入してこなかった大手企業などがそのマーケットに注目し、参入してライバル企業が増えることもあります。
またシェアトップやシェア独占していたとしても、参入者が増えれば、その地位が揺るがされる可能性もあるのです。
シェアを握り続けるには、差別化戦略も実践する必要があります。
デメリット③そもそもマーケットが存在しない
そもそもマーケットが存在しないという可能性もあります。
マーケットが存在しなければ、視聴調査や商品・サービス開発、流通方法といったことを、限られた情報から考えなければならず、初期投資にもかなりの金額を費やす必要が出てきます。
また、成長や継続が厳しくなることもあります。
マーケットが存在しない場合は、時間もコストもかかってしまうことがあるため、計画的に戦略を実践する必要があるのです。
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グローバルニッチトップ企業:日本企業の成功事例
ここでは、経済産業省が選定した「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」のなかから、ニッチトップ戦略で成功している日本企業の事例を2つご紹介します。
実例①レーザーテック
半導体検査装置メーカー「レーザーテック」は、売上高営業利益率37.1%と業界トップクラスを誇るメーカーです。
なかでも、マスクブランクス検査装置で世界シェアをほぼ独占しています。
ニッチトップ戦略に加えて「最速の開発」「研究開発型ファブライト」といった経営戦略を実践しているのが特徴です。
実例②白鳳堂
「白鳳堂」は、化粧筆や書道筆、日本画筆といった筆を製造・販売している会社です。
書道筆で培った技術を化粧筆に応用し、日本の伝統的な製品である筆で海外市場を開拓しました。
高級ブランドを冠した化粧用ブラシは世界で6割近いシェアを誇り、世界的な化粧品メーカーやメイクアップアーティストたちから高い支持を得ています。
新規事業立上げにおけるニッチ市場参入のポイント
新規事業立上げにおいてニッチ市場に参入する際には、次のポイントを抑えるようにしましょう。
- 市場を細分化し、自社の強みと合致するものを見つける
- ターゲットユーザーを明確にする
- ユーザーが求め、満足する商品・サービスはなにかを考える
ポイント①市場を細分化し、自社の強みと合致するものを見つける
ニッチな市場は簡単には見つけられません。
見つけるためには、業界の市場を細分化(セグメンテーション)し、細分化した市場のなかから、大手が参入していない市場や、ライバル企業が提供できていない商品・サービスの市場がないか調査してみましょう。
また、自社の強みも分析しておきます。
商品・サービスはもちろん、技術、ターゲット層、ニーズなどにおいて、自社ならではの提供価値、企業価値、ライバル企業に負けない点を明確にしましょう。
この強みはひとつだけでなく、いくつかを組み合わせて独自性を作り出せる可能性もあります。
そして、市場を細分化して導き出したニッチな市場と、自社の強みが合致するものを見つけましょう。
ポイント②ターゲットユーザーを明確にする
ターゲットユーザーを明確にすることで、ニッチ市場をピンポイントで攻めることができます。
ペルソナを細かく設定し、誰に利用して欲しい商品やサービスなのかをしっかり検討することが大切です。
またターゲットユーザーを明確にしたら、ユーザーとの接触方法も考えましょう。
接触方法には、実店舗またはインターネットがあります。
まずはどちらかを選ぶことからはじめてみてください。
ポイント③ユーザーが求め、満足する商品・サービスはなにかを考える
ユーザーが求める商品・サービスは何かを考えることも重要です。
ユーザーの期待に応え、満足する商品・サービスを提供することができれば、ニッチ市場で新規事業を定着させることができるでしょう。
まとめ:高い収益性が実現できる「ニッチトップ戦略」
「ニッチトップ戦略」は、自社独自の強みを活かせるニッチな市場を選び、シェアを拡大・独占していく戦略のことです。
ニッチトップ戦略がうまくいけば、価格競争に巻き込まれることなくシェアを拡大・独占でき、高い収益性が実現可能です。
新規事業の成功や新たなビジネスチャンスに、ニッチトップ戦略を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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