アンゾフの成長マトリクスとは?実践する方法と企業の成功事例紹介

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アンゾフの成長マトリクスとは、自社のビジネスの成長や拡大を分析し、成長戦略を考えるときに使われるフレームワークです。

アンゾフの成長マトリクスについて、具体的にどのようなものか、活用方法や企業の事例とあわせて解説します。

アンゾフの成長マトリクスとは?

アンゾフの成長マトリクスとは?

どんな企業でも事業を成長させ利益を増やしていくためには、成長戦略を立てていくことが重要です。

そんな戦略について使われるフレームワークのひとつに「アンゾフの成長マトリクス」があります。

アンゾフの成長マトリクスとは、自社の事業を拡大させる際、どのような拡大や成長戦略が立てられるか分析・整理していくためのマトリクスです。

具体的には縦軸に「市場」、横軸に「製品」をつくり、それぞれを「既存」と「新規」に分け、全体で4つのセクションにします。

この4つの象限から、企業がどのように成長していくか戦略を導きだしていきます。

アンゾフの成長マトリクスは、アメリカ人経営学者のイゴール・アンゾフが提唱しました。

アンゾフは「戦略的経営の父」と呼ばれる人物で、後に「競争優位性」を提唱したマイケル・ポーターをはじめ、マーケティング分野の多くの権威にも影響を与えたといわれています。

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アンゾフの成長マトリクス活用のメリット

アンゾフの成長マトリクス活用のメリット

アンゾフの成長マトリクスを使うと、次のようなメリットがあります。

施策例①成長戦略を見つけられる

アンゾフの成長マトリクスは、市場と製品の関係を「2×2」のマスに分けたマトリクスで分析します。

そうすることでまだ気づいていない市場を発見し、ニーズを引き出していなかった潜在顧客層を見つけられる可能性があります。

例えばこれまで利益を得ていたのは4つのマスのうちの2つだけで、残りの2つのマスは未開拓であったことに気づけば、未着手の2つのマスに働きかけて事業を成長させられるポテンシャルがあると気づけるのです。

現在の市場は消費者のトレンドが早く変わり、さらに嗜好が多様化しており、時代によって変化しています。

これに追い打ちをかけるように、感染症パンデミックによる景気悪化や円安などの外部要因も重なっています。

そんななかで事業を成長させていくためには、消費者のニーズや市場、競合の動向を把握して、適切な戦略を立てて見直していくことが大切なのです。

施策例②経営資源の効率的な活用

経営資源とは、企業が利益を生み出すために必要となる資源のことで、一般的に「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つがあげられます。

いくら成長戦略を立てても、それを実行するためには人材やコストなども必要となります。

そのため、それらの経営資源を効率的に利用することも、企業が利益を増やしていくためには忘れてはいけません。

経営資源についてもアンゾフの成長マトリックスを使うと、どのようにすれば効率的に利用できるか見えてくるのです。

仮に、まだ競合の参入がほとんどない大きな市場を見つけたとします。

そのような市場に参入する場合は、ある程度の経営資源が必要となっても、長期的には企業の利益につながると見ることもできるでしょう。

 

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アンゾフの成長マトリクス:4つの成長可能性

アンゾフの成長マトリクス:4つの成長可能性

アンゾフの成長マトリクスでは、4つのマスそれぞれで以下の4つの成長戦略を考えることができます。

市場浸透戦略

「既存市場×既存製品」の組み合わせに考えられるのが、市場浸透戦略です。

わかりやすくいうと、既存の市場に既存の製品を投入して販売する戦略です。

すでにある製品を使い、市場も既存のままですから、売り方を工夫して売上を上げていく必要があります。

具体的には、顧客ひとりあたりの購入単価や購入頻度を上げるために、次のような方法が考えられるでしょう。

  • リピート利用した顧客に割引をする
  • セット販売の製品をつくる
  • 同じ製品でも新たなシーンで利用できる価値を提供する

新たな製品を開発する必要もなく、市場を開拓することもありませんから、4つの戦略のなかでも最もリスクが低い戦略といえます。

新製品開発戦略

「既存市場×新規製品」の組み合わせに最適なのが、新製品開発戦略です。

これはすでにある市場に、新しい製品を投入する戦略です。

既存の市場にはすでに多くの競合の製品が存在するはずですから、新製品によって差別化することがポイントとなります。

その際、既存の製品にはない特徴や機能をプラスすることや、既存の製品をあえてシンプル・コンパクト化させることも方法として考えていいでしょう。

顧客が既存の製品で本当に満足しているのか、課題や新たなニーズはないのかを探り、そのニーズにあった新製品を開発するとヒットに結びつく可能性があります。

ただし新製品開発戦略では、新製品の開発に人材や施設への投資が必要となりますのでコストがかかります。

新市場開拓戦略

「新規市場×既存製品」の組み合わせには、新市場開拓戦略が考えられます

これはすでにある製品について、投入する市場を新しくするということです。

新規市場には以下の2つがあります。

 

・地域やエリアで考える「地理的な新規市場」

ひとつは、物理的な地域やエリアの市場を新しく開拓する方法です。

これまで関西圏だけで展開していたのを、東京に出店して関東でも展開していくようなケースが該当します。

海外進出も新市場開拓戦略の一環です。

 

・年齢・趣味などをもとにした「顧客セグメントが異なる新規市場」

もうひとつは、年齢、性別、趣味、ライフスタイルなど、顧客セグメントで区分する考えです。

これまでは30代の男性会社員を中心とした顧客だったが、働く女性にもターゲットを広げるというケースが当てはまります。

多角化戦略

「新規市場×新規製品」の組み合わせについては、多角化戦略がいいでしょう。

参入する市場も初めてで、新しい製品を投入することになるため、製品の開発コストに加えてマーケティングのコストもかかり、4つの戦略のなかで最もリスクが高い方法といえます。

しかしすでにある事業の他に新たな事業ができるため、万が一既存事業が失敗した場合のリスク回避にもつながります。

リスクが高い分だけ、成功したときは大きなリターンも期待できることから、ベンチャー企業はこの多角化戦略をとることが多い傾向にあります。

新規事業立上げ・新製品開発における活用方法

新規事業立上げ・新製品開発における活用方法

アンゾフの成長マトリクスは、基本的には既存の市場もしくは製品軸で新規事業を考えるのが王道です。

「新規市場×新規製品」の多角化戦略はリスクが高いため、M&Aでその領域の会社や人の買収などを検討するのが一般的です。

またコスト面でのシナジー等、なんらかの目的を持って行うことがポイントです。

一方で、スモールビジネスで多角化経営に成功しているシリアルアントレプレナーなども散見されます。

そのようなケースでは、マネジメントに長けており、BtoCのビジネスであるといった共通点があります。

市場と製品・サービスだけでなく、幅広いアセットやスキルといった側面で考えることもできます。

アンゾフの成長マトリクス:企業事例

アンゾフの成長マトリクス:企業事例

アンゾフの成長マトリクスは、多くの企業が戦略を策定するのに活用しています。

 

・コカ・コーラ

アメリカで誕生し爆発的な人気を得てきたコカ・コーラですが、健康への意識の高まりから売上が減少した時期がありました。

そこで「既存市場×新規商品」を狙って生まれたのが、ダイエットコークです。

これまでのコカ・コーラファンの心をがっちりと掴み、売上を増やしていきました。

 

・富士フイルム

カメラや写真フィルムでおなじみの富士フイルム。

しかしデジタル化の波にのって、カメラのニーズが低迷していました。

そこでインスタントカメラの「チェキ」という新商品を投入し、大ヒット商品となったのです。

各企業に最適な戦略を

アンゾフの成長マトリクスは、自社の製品や強みを考慮して成長戦略を立てる上で用いられるフレームワークで、そこから4つの戦略を考えることができます。

市場や消費者の動向が変わるなか、事業を成長させていくためには、そのような戦略を策定することが必要不可欠です。

「TACHIAGE」では、各企業の強みや市場分析を行い、どのような戦略を立てるべきかサポートしていきます。

プロフェッショナルのアドバイスをもとに、ぜひさらなる成長を目指していきましょう。

 

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執筆者紹介

河上 祐毅

ムーンプライド 取締役

アクセンチュアの戦略グループで通信・メーカー・メディア企業を中心に支援、クライアントチームへ転部を経て10年間在籍の後にマクドナルドにてプロモーション効果分析や消費者調査を担当。ムーンプライドではヘルスケア・通信・ハイテクメーカーを中心にDX営業、新規事業立ち上げ、デジタルマーケティング領域で支援を実施。

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