KPIツリーとは?具体的な作り方を事例を用いて解説

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組織の目標達成に向け、最終的なゴール(KGI)を明確にしなければなりません。

そのためにも、プロセスの途中にある問題や原因といったいろいろな要素(KPI)を洗い出す必要があります。

今回の記事では、そんなKGI達成に効果的とされるKPIツリーの概要をはじめ、具体例・メリット・作り方を徹底的に説明します。

またKPI・KGI・KSFの概要やそれぞれの違いも分かりやすく解説します。

KPIとは?

KPIとは?

KPIとは「Key Performance Indicator(キー・パフォーマンス・インジケーター)」の略語です。

組織が目標を達成するための「重要業績評価指標」を意味します。目標を達成するうえで各過程が適切に実施されているか否かを数値で観測し、組織におけるパフォーマンスの動向をつぶさに把握できる指標です。

この目標設定と実際の数値にギャップが生じた場合「組織のパフォーマンスが低下している」「方向性を見失っている」などの理由が考えられるため、アクションの修正が必要となります。

KPIは、ビジネスモデルや業務内容に応じて無数に存在することから、適切な指標を選択することが重要なポイントです。

一般的に、ひとつの組織や個人に設定するKPIの数は3~5個、最大でも10個程度とされています。

これ以上の数になってしまえば、理解や把握が難しくなるからです。

KGIとは?KPIとの違い

KGIとは「Key Goal Indicator(キー・ゴール・インジケーター)」の略語です。

「重要目標達成指標」や「経営目標達成指標」を意味し、組織が目指す最終的なゴールに向けての達成度を数値化して観測する指標です。

一般的には、売上高・成約数・利益率・業界シェアなどがKGIに当たり、これを設定することで、企業・部署・プロジェクトが掲げる目標の達成度を判断できるため、事業において最重要の数値と位置づけられる指標です。

KGIとKPIの違いは、組織の目標に対してKGIが「最終的なゴール」を表すのに対し、KPIは「中間的なゴール」を表します。

つまり、KGIという大きな目標に向け、その過程に設定された小さな目標がKPIです。

KPIは「過程」を見る指標であり、KGIは「結果」を見る指標と考えてください。

KFSとは?KPIとの違い

KFSとは「Key Factor for Success(キー・ファクター・フォー・サクセス)」の略語になります。

「重要成功要因」や「重要成功要因」を意味し、文字通りビジネスを成功させるためのキーとなる要因のことです。

市場環境において競合他社よりも自社の優位性を築くうえで重要な要素と定義づけられており、事業戦略を立案する際、必ずKFSを把握しておかなければなりません。

KFSを抽出する場合、競合企業や市場の動向、自社のビジネスモデルなどを分析し、複数の要因から割り出します。

KFSとKPIの違いは、KFSがビジネスを成功に導くための重要な要素であることに対し、KPIはその要素を数値化した指標であるという点です。

KFSは「KSF(Key Success Factor)」「CSF(Critical Success Factor)」ともいわれ、それぞれほぼ同義の言葉で使われています。

 

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KPIツリーとは?

KPIツリーとは?

KGIとKPIは階層構造の関係にあり、KGIという組織の大きな目標を頂点とした場合、複数の小さな目標であるKPIをロジックツリー(樹形図)で表現することができます。

このようにKGIとKPIの関係性を可視化したものが「KPIツリー」です。

事業戦略を組み立てる際、目標達成に向けての施策や現状把握、課題に対する改善などが不明瞭であれば「曖昧な施策の実行」「改善点が見えない」「失敗の理由が分からない」といった状況に陥り、満足のいく成果を得ることはできないでしょう。

しかしKPIツリーを作成することで「目標を達成するうえで必要なもの」「成功と失敗の理由」などを可視化することが可能です。

具体的には、KGIを達成させるための要素を抽出するときや、施策の具体的なアイデアを発案するときなどに役立ちます。

そのため、事業戦略の構築や施策の策定にKPIツリーの作成がマストなのです。

KPIツリーの具体例

KPIツリーの事例

企業や組織の目標達成を実現させるため、KPIツリーの存在が重要になります。

ただし実際にKPIツリーを作る場合、業界や業態などによってポイントが異なる点に注意が必要です。

ここでは飲食業界と人材採用業界を例に挙げ、KPIツリーを作成する際の具体例を見ていきましょう。

具体例①飲食業界

ここで例に挙げる飲食業界(飲食店)は、新規顧客が「広告媒体のWebページから予約~来店される場合」と「予約なしで来店される場合」を想定しました。

また顧客を「リピーター」と「新規」に分けていますが、客単価は同一とみなしています。

この条件下では、以下がKPIツリーを作成する際のポイントです。

  1. 予約で来店する新規顧客の流入チャネルをすべて挙げる
  2. 時間帯別(ランチやディナーなど)の顧客に分別
  3. 顧客のリピート率や増加率が重要な要素(データ)となる場合、新規顧客とリピーターを判別する

具体例②人材紹介業界

人材紹介業界(人材紹介会社)では、おもに広告媒体(Web)とスカウトによって人材のエントリーを募ることが一般的です。

それを踏まえ、ここでのプロセスは①応募者との面談②候補者の獲得③求人企業へ紹介(1次面接→最終面接→採用決定)と想定しています。以下がKPIツリーを作成する際のポイントです。

  1. 採用チャネルを(広告媒体やスカウト以外も含め)すべて挙げる
  2. 基本的に応募者面談は、要素としてKPIツリーに反映しない
  3. 採用決定後の辞退人数が重要な指標になる場合、KPIツリーに反映させる
  4. 採用チャネルそれぞれのエントリー数を「訪問者数とエントリー率」や「スカウト数とエントリー率」などに分類する

KPIツリーを作るメリット

KPIツリーを作るメリット

企業が掲げる目標の方向性や各過程、組織と従業員の関係性などを明確にできるKPIツリーですが、具体的には、どのような成果が期待できるのでしょうか?

ここからは、KPIツリーを作成することによって得られるメリットをご紹介します。

メリット①ボトルネックを見つけやすい

KPIツリーを作成すれば、最大の問題要因であるボトルネックを見つけやすくなります。

具体的にボトルネックとは、業務の中で生産性の低下や停滞を招いている工程・箇所を指すものです。

たとえば「目標達成に至る経緯の中に存在する課題点」や「無駄なタスクの軽減」などを抽出することが可能となります。

このようにKPIツリーによってボトルネックを早期に発見できれば、即座に業務の改善=効率化を図れ、大きなメリットになるでしょう。

メリット②業務の漏れや重複をなくせる

KPIツリーの形式は、問題や原因を含む事柄を構成している複数の要素をツリー状に書き出すロジックツリーとなっています。

目標達成に向けての全容を構成するKPIを書き出せば、問題や原因などを可視化・分解できるため、複雑な事柄を捉えやすくなり、業務の漏れや重複をなくせるのです。

また業務の全体像を見渡せるKPIツリーから重要な要因を分類すれば、目標を達成するための正確なアプローチができるようになります。

メリット③認識の共有と目的や課題の明確化

KPIを頭で考える場合、個人の抽出や分解には限界があります。

たとえ洗い出せたとしても、KPIが可視化されていないため、部署やチームといった多人数による認識の共有は困難です。

しかし問題や原因が網羅されているKPIツリーを見れば、誰にでもKPIや要因同士の関係性などを容易に把握できるようになるでしょう。

これにより全体で目標達成に向けての共通認識が取れ、広い視点から目的や課題を明確化できるのです。

KPIツリーの作り方

KPIツリーの作り方

ここからは、KPIツリーの具体的な作り方をステップごとに解説します。

実際にKPIツリーを構成する場合、その業界や業態などによって数多くの形式があるため、組織やプロジェクトに適切なKPIツリーを作成するように心がけてください。

ステップ①KGIの設定

最初のステップでは、プロジェクト内容に適したKGIを設定します。

KPIツリーは、KGIを起点としたうえでKPIの抽出や施策の検討などをおこなうことから、最終的なゴールとなるKGIを決めなければKPIツリーを作成できません。

たとえば、達成すべき目標の「売上」「集客数」「採用数」などがKGIになります。

どのKPIに問題があるのかを可視化しやすくするため、測定可能なKPIを設定しましょう。

KGIは最終的なゴールであることから、「商談数」「予約数」「求人応募数」などの目標達成に至る過程の指標はふさわしくありません。

ステップ②KGIを起点にKPIを順番に分解する

ここでは最初に設定したKGIを起点とし、上から一段ずつ順番に各KPIを因数分解していきます。

KPIは、必ず定量化(数字に置き換える)してください。

分解する際のポイントは、KPIの抽出漏れや重複に注意することです。

抽出漏れや重複を避けるため「足す」「引く」「掛ける」「割る」という四則演算が可能な要素で組み立ててください。

またKPIを徹底的に分解することで、実務に最適なKPIを洗い出せるようになります。

KPIを細分化すれば、KGIに至る工程の問題点や注力すべき部分が明確になるでしょう。

ステップ③ロジックツリーで可視化

KGIの設定やKPIの分解が完了したら、それをロジックツリーで可視化することが最後のステップになります。

ロジックツリーとは、分解した問題や原因を樹形図にしたものです。

このロジックツリーの頂点にKGIを置き、その下に各KPIを枝分かれさせていきます。

実際に作成するときは、各KPIを設定しながらツリーを構成できる「マインドマイスター」やKPIの構造を書き出してまとめる際に役立つ「Figma」「Canva」などのツールがおすすめです。

効率的に目標を達成できるKPIツリーを構築しよう

KPIツリーとは、KGIとKPIの関係性を可視化したロジックツリーを指すものです。

KGIという大きな目標を頂点とし、複数の小さな目標であるKPIが枝分かれした構造になっており、誰もが目標達成に向けての課題や原因などが分かりやすく把握できるため、業務の効率化が図れます。

実際にKPIツリーを作成する場合「TACHIAGE」にお任せください。

TACHIAGEでは、企業の戦略・企画やデジタル化、業務改革・IT構築、新規事業などのコンサルティングを高品質の技術や知識で強力にサポートします。

 

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執筆者紹介

河上 祐毅

ムーンプライド 取締役

アクセンチュアの戦略グループで通信・メーカー・メディア企業を中心に支援、クライアントチームへ転部を経て10年間在籍の後にマクドナルドにてプロモーション効果分析や消費者調査を担当。ムーンプライドではヘルスケア・通信・ハイテクメーカーを中心にDX営業、新規事業立ち上げ、デジタルマーケティング領域で支援を実施。

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