CCS・CCUSとは?事業化に向けた課題と取組み事例を紹介

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CCS・CCUSとは、二酸化炭素の回収、輸送、貯留のプロセスを指す技術です。

これらの技術は温室効果ガスの排出削減や気候変動の軽減に重要な役割を果たします。

本記事ではCCS・CCUSの概要や技術の具体的な手順、注目されている背景、事業化に向けた課題、旭化成株式会社の取り組み事例などを紹介します。

CCS/CCUSとは?また、その違いは?

CCS/CCUSとは?また、その違いは?

CCSは「CO2:二酸化炭素」を「Capture:回収」し、「Storage:貯留」する技術、CCUSは「CO2:二酸化炭素」を「Capture:回収」し、「Utilization:活用」、「Storage:貯留」する技術で、違いはCCUSにはUtilization(活用)が加わっている点です。

CUSについては次が概要となります。

Capture(回収): CO2を排出源から取り出すプロセスです。

これは、発電所や産業プロセスなどから発生したCO2を分離・回収する工程です。

主な技術には化学的な吸収や物理的な分離があります。

Utilization(活用):回収したCO2を資源として利用します。

溶接・ドライアイスなどのCO2の直接利用、EOR(Enhanced Oil Recovery:原油増進回収)CO2を地中に圧入・貯留することで油田の生産性を高める、カーボンリサイクルの3つの活用が想定されています。

3点目のカーボンリサイクルの具体的な活用方法としては1)ポリカーボネート、ウレタン、バイオマス由来化学品などの化学品、2)e-fuel、微細藻類バイオ燃料、バイオ燃料、ガス燃料など様々な燃料、3)コンクリート、セメント、炭素などの鉱物、4)その他のブルーカーボン/マリンバイオマス、風化促進、植物利用など大きく4つの利用方法が挙げられます。

Storage(貯留): CO2を地下の岩層などに安全に保管します。

これによって大気中へのCO2放出を抑制し、気候変動の緩和に寄与します。

CCS/CCUSが注目されている背景

CCS/CCUSが注目されている背景

CCS・CCUSが注目されている背景には、温室効果ガスの排出削減や気候変動の軽減への取り組みがあります。

1. 2050年カーボンニュートラル宣言で企業・社会の意識が変化

2050年に向けたカーボンニュートラル宣言は、企業や国際的な組織によってCO2排出削減へのコミットメントが示された重要な動きです。

これにより持続可能なエネルギー源や環境技術への関心が高まり、CCS/CCUS技術の開発・導入が加速されています。

2. 気候変動対策の緊急性

気候変動が世界的な課題として認識される中、急速な温暖化の抑制が求められています。

CCS/CCUS技術は、二酸化炭素の大規模な排出源を効果的に削減し、温室効果ガスの濃度を抑制する手段として重要視されています。

3. 産業部門の排出削減の必要性

産業部門はCO2排出の主要な源であり、特に化石燃料を利用するプロセスからの排出が顕著です。

CCS/CCUS技術は産業プロセスにおけるCO2排出の削減に有効であり、持続可能な生産を実現するための重要な手段として注目されています。

 

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CCUSの事業化を実現するための課題

CCUSの事業化を実現するための課題

CCUSの事業化を実現するためには、いくつかの課題が存在します。

これには技術的な課題や経済的な課題、規制や政策の課題などが含まれます。

CCUS技術の開発・導入には高いコストや、複雑なインフラストラクチャの必要性があります。

またCO2の貯留場所の確保や地震などの、地下貯留の安全性に関する懸念もあります。

さらに政府や国際的な規制機関の支援や、投資家や企業の関与が重要です。

これらの課題を克服するためには、技術革新や政策の改善、国際的な協力などが必要です。

1. 市場ポテンシャルの具体化

CCUS技術の市場ポテンシャルを具体的に明確にすることが重要です。

産業やエネルギーセクターにおける具体的な適用領域や、ビジネスモデルの構築が必要です。

2. 技術の進化とコスト削減

CCUS技術はまだ発展途中であり、効率的で経済的な方法でCO2を回収・貯留する手段が必要です。

技術の継続的な改善とコストの削減が求められます。

3. 法的・規制上の課題

CCUSプロジェクトには、複数の法的・規制上の課題が存在します。

地域ごとに異なる環境規制や、CO2貯留の許認可プロセスを遵守する必要があります。

4. 技術導入の障壁

新しい技術の導入には、既存のインフラとの統合や専門的な人材の育成など、さまざまな障壁が存在します。

これらを克服するための戦略が必要です。

5. ファイナンスとリスクマネジメント

CCUSプロジェクトは高い初期投資が必要であり、リスクマネジメントが重要です。

金融機関や投資家の協力を得るための、適切なビジネスモデルが求められます。

CCS/CCUSの取組み実例

CCS/CCUSの取組み実例

さまざまな企業で、CCUS技術の導入に向けて積極的な取り組みを行っています。

具体的な取組みには以下のような事例があります

旭化成株式会社

旭化成株式会社は、CCUS技術の導入に向けて積極的な取り組みを行っています。

CO2の回収と再利用: 製造プロセスにおけるCO2を回収し、再利用する取り組みを行っています。

この取り組みにより、排出量の削減や資源の効率的な利用が実現されています。

炭酸ガスの地中貯留:地中にCO2を貯留する技術の研究開発を行っています。

地下の岩層へのCO2の安全な封入方法を研究し、将来的な商業運用に向けた基盤の構築を目指しています。

持続可能なエネルギー源の導入: 再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入を推進しています。

これにより、CO2排出の削減や環境への負荷の軽減が図られています。

これらの取り組みによって持続可能な事業運営を目指し、CCUS技術の実用化に向けて積極的な役割を果たしています。

まとめ

CCS・CCUSは二酸化炭素の回収、輸送、貯留のプロセスを指し、温室効果ガスの排出削減や気候変動の軽減に重要な手段とされています。

特に、産業や発電所などでの利用が期待されています。

CCS/CCUSが注目される背景には、2050年カーボンニュートラル宣言や気候変動への緊急性、産業部門の排出削減の必要性があります。

CCUSの事業化を実現するためには、市場ポテンシャルの具体化や技術の進化、法的・規制上の課題、技術導入の障壁、ファイナンスとリスクマネジメントなどの課題を克服しなければなりません。

CCS・CCUSに取り組んでいる企業には社会インフラや化学品、建設会社などが多く携わっており、バリューチェーンも複雑なため一社で完結するというよりは様々なプレーヤーが協力し、実現を目指す領域となっています。

物理的にCO2を回収し、他素材の製造に活用する、貯留するなどが必要なため手軽に取り組める分野でありませんが、社会的意義とともに技術確立の難易度も高いことが想定されており、10年単位での目標が設定されています。

そのため、長期的な成長が確約されている市場と捉えることもでき、各工程でのコストを大幅に下げる技術を開発することができれば一気にユニコーン企業になれる可能性もあるマーケットとも考えられる大きなポテンシャルを秘めた技術・市場です。

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執筆者紹介

中村 基樹

アクセンチュアに25年在籍後創業、主にハイテク製造業、通信、不動産、自治体のお客様の経営課題解決に尽力。新規事業・成長戦略、デジタル・IoT戦略、営業改革、SCM・調達改革、IT戦略・構築、業務・ITアウトソーシングなど、数多くのコンサルティングサービスを提供。

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