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現在、多くの企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されています。
しかしどのように取り組んだらいいのかわからない、思ったよりも結果がついてこないという悩みを抱える企業も多くあります。
この記事ではDXについて解説し、DXの抱える問題や企業としてどう向き合うべきなのかをお話しします。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、組織の抱えるさまざまな課題を解決するための試みのことです。
2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が提唱した概念ですが、2020年の新型コロナウイルスの流行をきっかけに、多くの企業がDX化に取り組み始めました。
また「トランスフォーメーション」とは英語で「変革」や「変容」を表します。
これまで一部の企業や特定の分野、製品に活用されていたデジタル技術が、DXが広まることでより多くの人々が今まで以上に日常的にデジタル技術の恩恵を受けられるようになり、社会の形が大きく変容します。
単に企業の業務をデジタル化するだけではなく、デジタル技術によって私たちの生活のあり方を変えることがDXの本質です。
DXとIT化の違い
実は、DXとIT化には明確な線引きはありません。
DXは言い換えるとデジタル化に相当しますが、「IT」と「デジタル」は同義で使われることも多く、DXとIT化どちらも大きな違いはありません。
強いて違いをあげるなら、生活や業務に「トランスフォーメーション(変革)」が起こるかどうかという点で区別します。
オフィスに新しいパソコンやソフトウェアを導入し、業務の効率化を達成した場合、これはIT化に当たります。
タスクの簡略化を行い、生産効率をあげることがIT化の役割です。
一方のDXでは、デジタル機器を導入することでこれまでの業務フローが大きく変化することを指します。
例えば小売店の店頭での接客やレジ打ちをロボットが担当することになった場合、人間の仕事はどのように変化するのか、店舗の運営をどのようにするのかなど、業務フローを変えることがDXの領域といえます。
DXという言葉についての筆者の考え
DXという言葉が一般的に使われ始めて、まだ5年未満です。そのためDXは現在黎明期といえる段階で、多くの企業が手探りで進めているのが現状です。
DXの本質的な目的は、事業を効率よく成長させることにあります。
「トランスフォーメーション(変革)」という大袈裟な響きではあるものの、仮に自動レジを導入したからといって、急に消費者や従業員の意識や行動が変わるわけではありません。
DXに取り組んでみたものの、大きな効果を得られないという企業もあるでしょう。
とはいえ、世の中の企業やサービスがITを中心に変化していくことは既定路線です。
現在は、大きな変化に向けて一歩ずつ進んでいる段階だと捉えることが大切です。
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DXにおける先進的なテーマ
DXの取り組み方は企業によって異なります。
ここでは特に注目されている、先進的なDXのテーマについて紹介します。
スーパーアプリ
スーパーアプリとは、複数の機能が統合された単一のアプリケーションを指します。
従来のアプリは、ショッピング、SNS、健康管理、マッチングなど個別機能を持ってデザインされますが、スーパーアプリではこれらの機能や役割を一つのアプリにまとめることで、生活様式に大きな変化をもたらします。
代表的なスーパーアプリの例としては、中国のテンセントが開発した「WeChat」が挙げられます。
以下はWeChatで可能なことの一覧です。
- オンライン通話でのコミュニケーション
- インターネットショッピング
- タクシーの配車
- チケット予約
- 健康管理
- オンライン診療
- 税金の申請
現在も機能は増え続けており、これらの機能がシームレスにつながり、一つのアプリの中で完結しています。
スーパーアプリのメリットは利便性の高さと、さまざまな目的をもつユーザーがダウンロードするため多くの利用者数が見込まれる点です。
近年ではXがスーパーアプリ化を目指しているほか、日本のチャットアプリLINEもスーパーアプリ構想を掲げています。
量子コンピュータ
DXのさらに先の概念として、量子コンピュータを用いた「QX(クオンタムトランスフォーメーション)」が注目されています。
QXでは、次世代のコンピュータである量子コンピュータを用いて、社会の抱えるあらゆる問題を解決することを目的としています。
量子コンピュータは現時点では実用化に至ってないものの、2030年代にはビジネスシーンにおいても実用がスタートすると見込まれており、以下の点での活用が予想されています。
- 新薬の開発
- 環境問題の解決
- 渋滞回避
- 新素材の開発
AIの組み込み
AI(人工知能)は、現在進行形で注目を集めている分野です。
携帯端末の普及により、我々の生活の大部分がデータとして保存できるようになりました。
例えば閲覧しているホームページや使用しているアプリ、購入したアイテムやサービス、健康状態や毎日の移動経路、写真や音楽などあらゆるものがデータとして残されます。
これらの大量のデータを処理し、ビジネスに反映させるためには、高度な演算能力をもつAIの活用が求められます。
顧客のデータを機械学習によってAIに学ばせることで、それぞれのニーズにあったサービスや製品を提供することが可能になります。
AIが普及すると、以下のような人間のタスクの一部を機械が担うようになります。
- 複雑な経営判断
- データの収集
- 自動車の自動運転
- 病気の診断
- 天気予報
- 言語の翻訳
- 音声認識、顔認識
- 音声からの書き出し
DX推進による弊害・デメリット
以上のようにDXは着実に進められています。
しかし推進されることでこれまでの生活を変えてしまうため、弊害やデメリットも発生します。
今までも新しい技術が登場するたびに、その機能を使いこなせない人が必ずといっていいほど現れました。
インターネットの活用、電子メールの作成など今となっては当たり前のものも、かつては存在しませんでした。
登場の都度に、対応できる人とそうではない人とで格差が生まれています。
DXが広がるとその差はさらに如実になることが予想されており、デジタル機器に親和性のない人が世の中から取り残される可能性もあります。
またDXが実現された社会では、多くのものがインターネットに接続されています。
そのためサイバー攻撃のリスクに常にさらされ、仮にサイバー攻撃を受けた際には被害が大きくなります。
デジタルへの依存度が高い事業の場合は、業務継続が困難になることもあるため、DX社会においてはサイバーセキュリティ対策も並行して重要な課題です。
さらにDXを進めている企業の中には、いわゆる「DX疲れ」を起こしているところもあります。
現場で慣れないデジタル機器の扱いに戸惑ったり、思ったよりも売上や生産性の向上につながらず頭を抱えたりする経営者や管理職も多いようです。
しかしDXの推進は、今後の日本が国際競争に取り残されないためにも不可欠なものです。
現在はDXが広まってまだ日も浅く、多くの企業がトライアルアンドエラーを繰り返している段階です。
すぐに効果が出なくとも、DXは多くの企業にとって、取り組むべき目の前の課題といえるのです。
企業としてDXにどう向き合うべきか?
DXが進むと、デジタル機器を扱えない人たちと扱える人たちの溝は深まることが予測されています。
一方で国際的な競争において、日本企業が存在感を高めるためにはDXは必要不可欠といえます。
また早期に取り組むほど、これからの社会においてイニシアチブを獲得できるでしょう。
実際にDXの推進により、私たちの生活でも目に見えるような変化も起こっています。
今後さらにDXが拡大していくことで、変化の速度は上がっていきます。
そのため事業者は、現在の事業の強みとDXを組み合わせてさらに発展させていく必要があります。
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