PSF(プロブレムソリューションフィット)とは?PMFとの違いと具体的な到達・検証方法を解説

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新規事業を立ち上げる際、顧客の問題や課題に適切なソリューションで応えられるか否かは、ビジネスを成功させるためのポイントとなります。

見当違いなソリューションを提示すれば、顧客は見向きもしてくれないからです。

今回の記事では、新たなビジネスを始めるときに重視されるPSFの概要をはじめ、PSFとPMFの違い、必要なシーンを徹底的に解説します。

また、PSFの到達プロセスや具体的な検証方法も見ていきましょう。

PSFとは?

PSFとは?を説明した画像

PSFとは「Problem Solution Fit(プロブレムソリューションフィット)」の頭文字を組み合わせた言葉です。

顧客が抱えている問題や課題(プロブレム)に対して「正しい解決策(ソリューション)を提示している状態」や「問題解決に向けて提供した商品やサービスがマッチしている状態」を意味します。

ビジネスには「解決を迫られた課題がある」「課題を抱えた顧客がいる」「課題解決に最適な施策を提案する」という基本的な3つの要素があり、これを前もって徹底的に検証するべきという見解がPSFの土台にあると捉えてください。

PSFの状態を構築するためには、課題を抱えた顧客を見つけ、その課題に最適な解決策を究明し、課題解決に向けての商品やサービスを提供しなければなりません。

何の課題もない顧客にどれだけアプローチをかけても、見向きもしてくれないでしょう。

また初期段階で顧客が抱える課題へのアプローチを見誤ってしまえば「修正できない」「効果が出ない」といった事態に陥る可能性があります。

つまりPSFは、新たに作る商品やサービスがビジネスとして成立するか否かを検証するうえで重要なポイントになるのです。

PMFとは?PSFとの違い

PMFとは「Product Market Fit(プロダクトマーケットフィット)」の頭文字からなる略語です。

提供した商品やサービスなどの製品(プロダクト)が特定の市場に適合(フィット)している状態のことです。

スタートアップビジネスの初期段階に重要な工程として、PMFと混同されがちなPSFですが、PMFは「顧客の課題に適切な解決策(製品)を提供している状態」に対し、PSFは「顧客の課題を解決する製品の満足度と価格が適切な市場に受け入れられている状態」を指しています。

事業のスタートアップを成功させるうえで、PMFに到達することが重要なポイントです。

PMFを検証せずに製品の販売をおこなった場合、ユーザーのニーズにマッチしていない可能性もあるため、スタートアップ失敗のリスクが大きくなるでしょう。

つまりスタートアップビジネスの初期段階における前工程がPSF、後工程がPMFです。

「市場ニーズの検証(PMF)」と「プロダクトそのものの検証(PSF)」と捉えることもできます。

PSFが必要となる3つのシーン

PSFが必要となる3つのシーン

顧客が抱える課題に対して正しいソリューション(解決策)を提示できている状態がPSFですが、具体的には、そもそもどのような場面で検証をおこなうべきでしょうか?

ここでは、実際にPSFが必要とされるシーンをご紹介します。

シーン①課題に対する解決策が適切か検証するとき

PSFの前にCPFという工程があります。

CPFとは「Customer Problem Fit(カスタマープロブレムフィット)」の頭文字を取った略語であり、顧客の課題を検証する(もしくは検証された)状態を指す言葉です。

しかし大半のCPFでは、まだ具体的な解決策を提示できていないことから、顧客の課題解決までには至りません。

そのため、CPFの後工程となるPSFで解決策の試作品であるプロトタイプを制作・検証をおこない、課題に対する解決策が適切か否かを見極めるのです。

シーン②より高品質な解決策を作り込むとき

顧客の課題解決に向けた適切なプロトタイプを制作・提示した際、解決策の受容性や有効性といった満足度を顧客から詳細にヒアリングします。

CPFでの検証をもとに制作したプロトタイプにとって、顧客へのヒアリングから得たフィードバックが、より高品質な解決策を作り込むとき非常に重要な要素となるからです。

顧客からの情報を参考にすれば、プロトタイプの不足部分や不要部分が明確になり、有益な改善をかけられるようになります。

シーン③PMFへの移行を判断するとき

提供した製品が特定の市場に適合するか否かを検証する工程がPMFですが、そのPMFへ移行する判断を見極める前工程としてPSFが必要になります。

たとえば顧客が課題を抱えているかを検証するCPFで解決すべき課題が特定されたとしても、CPFの後工程にあたるPSFで適切な解決策が提示できなければ、その製品に顧客が納得することはありません。

結果的に製品は受け入れられず、ビジネスとして成立しないでしょう。

つまりPSFで顧客の課題に対して正しい解決策を導き出していれば、確証を持ってPMFへの移行ができるのです。

 

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PSFの到達プロセス

PSFの到達プロセスを説明した画像

実際にPSFを達成するためには、どのような手順を踏んでいけばよいのでしょうか?

ここでは、PSFの到達プロセスをおもなステップごとに解説します。

問題や課題、解決策、コミット率、購買意欲がPSFに到達するまでのおもなポイントは以下のようなものです。

ステップ①プロブレムの洗い出し

PSFの到達を目指す最初のステップでは、顧客が抱える問題や課題を洗い出す必要があります。

そもそもPSFのPとは、問題や課題を意味する「Problem(プロブレム)」の頭文字であり、これを明確にしなければPSFが成立しません。

実際に問題や課題を洗い出す場合、顧客のリアルな声を拾い上げるため「個人の意見を重視」しながら、さまざまなユーザーにインタビューやアンケートをおこないましょう。

その際、対象者の業界や業種、年齢や性別、挙げられた課題の特性や属性などをしっかりと分類します。

その中から多くのユーザーが抱える問題や課題をピックアップすれば、ビジネスチャンスにつながる可能性が大きくなるでしょう。

ステップ②ソリューションの検討

前ステップで問題や課題の洗い出しが完了したら、ここからはその問題や課題に適切な「 Solution(ソリューション)」を検討します。

PSFのSは、解決策を意味するSolutionの頭文字です。

適切な解決策とは「人的サービス」「Webサービス」「製品開発」など、顧客が抱える問題や課題の種類ごとに異なります。

ここでのポイントは、顧客へ検討中の解決策を実際に提示し、その反応を伺うことです。

そして「問題や課題が解決できるのか」「新たな問題や課題が発生する可能性」「コンプライアンスの抵触有無」「そもそも実現できるのか」などを精査していきます。

ステップ③コミット率の検証

解決策の検討にある程度の見込みができれば、問題や課題の解決に向けた具体的な製品の開発にコミットしてくれるユーザーを探しましょう。

製品を開発する際、提供側だけの思考で作ってしまえば、問題や課題と乖離した解決策になってしまう可能性があるからです。

コミットとは「commitment(コミットメント)」の略語であり、ビジネスでは「結果を約束する」「積極的にかかわる」などの意味があります。

顧客が抱える問題や課題の解決にふさわしい適切な製品であれば、開発にコミットしてくれるユーザーが少なからず現れるはずです。

このコミット率の検証も、PSFの到達に向けての重要なステップとなります。

ステップ④購買意欲の調査実施

開発した解決策を製品として実際に顧客が必要とするのか否か、その購買意欲を調査する作業が最後のステップとなります。

ここでのポイントは「製品が有料でも利用してくれるのか」を確認することです。

実際に顧客の購買意欲を調査する場合、人数や規模、割合といった数字を収集する定量調査とユーザー個別の意見を収集する定性調査が、一般的な手法に挙げられます。

具体的に定量調査とは、市場全体の声を拾い上げるため、インターネットなどを活用して「特定の場所で課題を抱えている割合」「課題の発生率」「課題解決に使う平均費用」などの定量を把握するものです。

そして定性調査とは、ユーザーひとりひとりにインタビューやアンケートを実施し「課題と直面する場面」「課題の難易度」「課題に対する解決策の品質」など、定性的な要素を把握できます。

PSFの検証方法

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PSFの到達プロセスにおいて、実際にPSFの検証をおこなう場合、どのような手法があるのでしょうか?

ここでは、顧客と課題や解決策を検証するインタビューや購買層の意向調査を目的としたテストなど、PSFの検証にふさわしい具体的な方法を解説します。

方法①顧客への課題インタビュー

スタートアップビジネスの初期段階にあたるPSFにおいて、正確に課題と顧客を把握する必要があります。

そのための検証方法が、ひとりひとりのユーザーを対象としたインタビューです。

これによって、まだ表面化していない顧客の抱える問題が細かく浮き彫りになるため、正しく顧客の課題を捉えられるようになります。

実際に課題インタビューをおこなう際のポイントは、最初から課題に対する直接的な質問を避け、徐々に焦点を絞りながらヒアリングしていくことです。

質問の内容や順番を誤れば、ユーザーの回答を誘導する結果となり、正確な検証がおこなえなくなるでしょう。

方法②プロトタイピング

顧客の課題に対する適切な解決策の検証も、PSFの到達プロセスにおいて不可欠な要素です。

解決策の検証には、プロトタイピングが効果的とされています。

プロトタイピングとは、製品(商品やサービス)の試作品を作成し、実際にユーザーの意見を参考とする事前検証です。

試作品が課題の解決につながるか否かを顧客にヒアリングする際、あくまでも「解決策の検証」が目的であるため、細かい点に捉われないでください。

このプロトタイピングの実施によって顧客から重要なフィードバックが得られるため、解決策の開発効率を高める効果もあります。

方法③Fake Door Test

「Fake Door Test(フェイクドアテスト)」とは「偽物のドアによる実験」という意味であり、実際には使用できない新しい機能のボタンやリンクを設置し、どれだけのユーザーがクリックするかを計測する調査方法となります。

このテストによって「ユーザー全体の何%が新たな機能を必要としているのか」を明確に検証できるのです。

一般的にPSFでのFake Door Testでは、プロトタイプ製品のランディングページを作成したうえで、新しい機能のボタンやリンクなどを検証するという方法がとられています。

PSFはスタートアップビジネスの重要な工程

PSFとは、顧客が抱えている問題や課題に適切な解決策を提示している状態を意味する言葉です。

特定の市場に送り出す新たな製品(商品やサービス)が事業として成立するか否かを検証する際、スタートアップビジネスの初期段階にあたるPSFが重要な工程です。

PSFの実践を詳しく知りたい方は「ムーンプライド」にご相談ください。

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執筆者紹介

西村 聖司

アクセンチュアに20年以上在籍後、創業。主に製造業やサービス業のお客様に対して、営業改革や人事業務改革・人材育成、コミュニケーション変革などの企画やプロジェクトマネジメントのコンサルティングサービスを提供。中小企業診断士として、経営指導やベンチャー支援も実施。

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