新規事業に役立つおすすめフレームワーク4選!使い方のポイントも

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新規事業を始めるまでには、考えなければいけない点がいくつもあります。

例えば、事業アイデアの有効性、競合他社に勝てるのかどうか、持続的に事業を展開できるかどうかなど、なにか一つでも漏れがあると、それが仇となり、新規事業が失敗に終わってしまうかもしれません。

考えるべき点を漏れなく押さえて、頭の中を整理する、そのために有効なのがフレームワークです。

この記事では、フレームワークを活用するメリットや、どのようなフレームワークがあるのかをご紹介します。

新規事業の必要性

新規事業の必要性

フレームワークの話に入る前に、新規事業の必要性についてあらためて見ていきます。

なぜ新規事業が必要なのか? 新たに事業を開発する必要があるのか? その答えは、企業の持続的発展のために新規事業が必要だからです。

企業を取り巻く環境は、日々めまぐるしく変化し、先の読みにくい時代になっています。

あらたなテクノロジーやツールがどんどん生まれ、それらを扱うプレイヤー(企業やヒト)が次から次へと現れるなか、たとえ現状では安定している事業があったしても、この先の成長が保証されるわけではありません。

環境の変化についていけなければ、つまり企業は成長し続けなければ、やがて衰退してしまうのです。そして、企業の成長に必要なのが新規事業に取り組むことなのです。

新規事業の立ち上げについては以下の記事で解説しています。

【関連記事】新規事業を立ち上げるときに知っておきたいポイント4選!プロセスもステップごとに解説

新規事業でフレームワークを活用するメリット

新規事業でフレームワークを活用するメリット

考え方やアイデアの整理、分析ツールとしての枠組みとなるフレームワーク。

新規事業の立案・実行をはじめとする多様な局面でフレームワークは役に立ちます。

それではメリットを具体的に見ていきましょう。

メリット① 思考やアイデアの整理に便利

まず「思考やアイデアを整理することができる」点です。

実際にペンを取って紙に書く、またはパソコンで打つだけでも頭の中が可視化され、思考の整理につながりますが、フレームワークを使うことで、ある事象とある事象の関係性も可視化され、効率よく思考を整理することができます。

メリット② 問題点の抜けや漏れがなくなる

2つ目は、フレームワークを活用することで新規事業を進めて行くうえで検討すべき内容、問題点や課題などの抜けや漏れを最小限にとどめることが可能になります。

フレームワークにも様々ありますが、新規事業を検討するにあたって重要なことが項目化されているため、見落とすことなく、事業アイデアをブラッシュアップすることができます。

メリット③メンバーと共有できる

3つ目は戦略や戦術をメンバーやチーム内で共有しやすくなる点です。

フレームワークを活用すると、一枚の紙などに戦略や戦術、ビジネスプランを図式化してまとめることができるので、メンバーの理解も早くなります。

 

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新規事業で使いたいフレームワーク 4選

新規事業で使いたいフレームワーク4選の自作画像

ここからは新規事業で役に立つフレームワークをいくつか紹介していきます。

●3C

●3C

3C分析は、企業の戦略的マーケティングを考える場合によく使われるフレームワークです。

名称が示す通り、以下の3つのCを使って自社や事業を分析していきます。

  • Customer…「市場」と「顧客」を分析する
  • Competitor…「競合他社」を分析する
  • Company…「自社」を分析する

この3C分析がすぐれている点は、効率的に自社が事業で成功するための課題を発見できることにあります。

分析する順序は、まず「Customer」から始めます。市場をマクロとミクロの視点から分析し、それによって顧客のニーズや行動にどのような変化が生まれているかなどを分析します。

次に「Customer」の分析結果をもとに「Competitor」の分析をします。競合が市場や顧客に対してどう対応しているのか、どのような成果を生み出しているのかを探ります。

最後に「Customer」「Competitor」の分析結果をもとに「Company」、つまり自社について分析します。市場シェアや技術力、経営資源などさまざまなポイントから強み、弱みを洗い出し、経営戦略につなげていきます。

3C分析では、情報の正確性が分析結果を左右します。特に、外部要因である「Customer」「Competitor」については、正しい情報をもとに整理することが求められます。

●STP

●STP

STP分析とは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)という3つの英単語の頭文字から名付けられた分析方法です。

これもマーケティングにおける代表的なフレームワークの1つで、経営学者であるフィリップ・コトラー氏によって提唱された分析手法です。

新規事業を展開していくうえで、自社およびその製品の市場における現状を明確にしておくと、その後のマーケティング戦略の策定や実行がしやすくなります。この点で、STP分析は有効なフレームワークとなります。

STP分析を行う際は、「セグメンテーション」で市場の全体像を把握し、「ターゲティング」でその中から狙うべき市場を定め、「ポジショニング」で競合他社との位置関係を決めるという流れで進めていくケースが有効です。

ここから、S・T・Pの3つについてかんたんに説明しましょう。

Segmentation(セグメンテーション)

市場全体を特定の要素でグループ分けをします。

企業ごとに独自の切り分けをしているところもありますが、ない場合は以下の4つに軸で市場を切り分けてみましょう。

  • 人口統計的変数:年齢・性別・学歴・職歴・家族構成などに関する人の基本属性です。
  • 地理的変数:国・市町村・気候・文化といった地理的要因に関する要素です
  • 心理的変数:価値観や性格、ライフスタイル、購入動機といったものを指します。
  • 行動変数:買い物の頻度やタイミング、商品の用途など個人の行動に関するデータを指します。

Targeting(ターゲティング)

切り分けたセグメントから、自社の強みが発揮できると思われるターゲットを選定していきます。

このとき、次の3つのターゲティング手法を使うことが有効です。下にいくほど、狭いセグメントを狙うことになります。

  • 無差別型:セグメントの違いを考えず、市場に1つの商品を投入する
  • 差別型:複数のセグメントの範囲を定めて商品を投入する
  • 集中型:1つのセグメントに絞って商品を投入する

Positioning(ポジショニング)

自社の強み、弱みはもちろん場合によっては他の特性を他社と比較しながら、ターゲットのセグメントを意識しながら自社の現在地を明確化します。

重要なのは、他社との差別化や優位性が獲得できるよう、ポジショニングを考えることです。

STP分析は、世の中にある製品の多くに当てはめることが可能です。

市場ですでに大きなシェアを獲得している製品がどのような考えのもとで普及に至ったのか、STP分析を活用して、新規製品を展開していく際に活用できるように社内での訓練を習慣づけることをおすすめします。

●できるか・勝てるか・儲かるか

●できるか・勝てるか・儲かるか

あまり聞き慣れないフレームワークかもしれませんが、新規事業を考える際には誰しもが考える要素であり、新規事業の検討を支援させて頂く際にはよく使うフレームワークです。

新規事業は自社だけで立ち上げるケースやパートナー企業と一緒に事業を行うケースなど、様々な場合がありますが、小さく開始して事業を大きくしていくことを狙っている事業が大半です。

戦略的に大きく投資を行い、短期的に成長させる場合もありますが、そのような事業は既に類似の成功している事業を他社が行っており、資本力で勝つことを前提としていることが多いです。

世の中にあまりない事業やあったとしても自社のケイパビリティから外れる事業を行うなど通常の新規事業では失敗しても大丈夫な範囲で小さく開始し、徐々に成長させることを想定することが一般的です。

そのような場合、この3つの観点は非常に重要となり、特に当たり前と思われる1つ目の「できるか」を軽視することは危険です。

できないことはないが想定以上に工数やコストがかかる、そもそもAIでできることに限界がありサービス品質が上がらないなど、思ったとおりの商品やサービスができないことは十分にありえるとともに致命的なリスクとなるためある程度の確証が得られるまで試行することが重要です。

できるか

思い描いた商品やサービスを提供できるか。

最終形ではなく、最も単純な形で良いので、提供したい商品やサービスを作り、定常的に提供するケイパビリティやアセットがあるか、もしくはない場合はそれを獲得できるか。

勝てるか

競合と想定する商品やサービス、ひいては企業に勝つための備えがあるか。

既存の商品やサービスにどのような点(例:機能・品質、価格、スピード、マーケティング、ブランディングなど)で勝とうとしているのか。また、後発で入ってきたプレイヤーに対し、それまでにどのような優位性を構築するのか。

儲かるか

商品やサービス自体の利益率も重要ですが、ビジネスケースを作成しどの要素が事業にとって重要なのかを理解し、それが曖昧な前提にたっていないかを確認することが重要です。

また、単月黒字化や累積黒字化までの期間や最大赤字額など事業リスクをどこまで許容できるかについてもある程度試算しておくと、事業を推進する上での判断ポイントや撤退基準の検討材料となります。

逆にそれらがないと思ったより赤字が膨らんでしまい、上に説明できなかったり、自分自身の資本が足りないなど危機的な状況に遭遇する可能性が高まるため、事前にある程度のビジネスケースを作成することをおすすめします。

どれもその言葉の通りで、当たり前と感じるかと思いますが改めてこれらを文字に起こして考えてみると想定が甘い点や考え切れていない点が明確になることがあるため、是非活用してみてください。

●リーンキャンバス

●リーンキャンバス

このフレームワークはスタートアップ企業や新規事業においてビジネスモデルを考えるときに活用できます。

使い方は、ビジネスモデルを9つの要素に分割して可視化します。

特徴として、事業プランを可視化することで論点を整理できる、現状や課題などをメンバー間で共有できるなどが挙げられ、「要点を整理して紙1枚に簡潔にまとめることができる」「スピーディーに共有することが可能」「スピーディーに仮説の検証ができ、アップデートが可能」などのメリットがあります。

リーンキャンバスで展開する9つの要素は以下の通りです。

  1. 顧客のセグメント:自社商品・サービスを利用する顧客層
  2. 顧客の課題:想定する顧客が何について課題を感じているか、興味があるか
  3. 独自の価値(UVP):自社の独自性・強み
  4. ソリューション:②に対する具体的な解決策
  5. チャネル:自社サービス・商品を顧客に届ける販路
  6. 収益の流れ:自社サービス・商品が利益を生み出す構図
  7. 主要な指標:定量的指標を書きだして目標達成のための中間目標を設定・明記
  8. コスト構造:自社サービス・商品を市場に出すまでにかかる費用
  9. 圧倒的な優位性:文字通り競合他社と比較して自社サービス・商品のもつ圧倒的な強み

これら9つの要素を言語化していきます。

9つの要素を書き込んだら圧倒的な優位性が確実なものになるまでPDCAを繰り返します。

【課題の発見・解決方法の仮説→仮説の検証→MVP(実用最小限の製品)のリリース→市場性の検証→スケール】の順でPDCAを回していきます。

新規事業立ち上げにはこの他にも様々なフレームワークが使われます。

目的に応じてそれぞれを使い分け事業の成功につなげましょう。

新規事業成功のためのフレームワーク活用のポイント

新規事業成功のためのフレームワーク活用のポイント

フレームワークは、様々な観点や視点から問題点や課題を分類し、論理的思考を視覚的に後押ししてくれる便利なツールです。

これにより分析や議論を深めることが容易になるとともに、俯瞰的な視点を持つことができ事業成功への大きな力になってくれます。

ポイント① 自社に合ったものを

フレームワークは様々なケースに対応できるようにつくられているため、汎用性はあっても個別ケースに対応したものではない、ということを知っておきましょう。

各々の状況によって最適なものは変わります。ケースによっては自社に合わないものもあるでしょう。その場合はフレームワークのカスタマイズ化も必要になります。

ただし、それによってフレームワークの持つ本来の理論から外れるようでは意味がありません。

使用しているフレームワークが自社に合っているか、リソースに合っているかなどから検討し、カスタマイズすることが難しい場合には、使用をやめる勇気も必要になります。

ポイント② 目的を見失わない

フレームワークを使う時は、「Why(なぜ)」「What(なに)」「How(どのように)」を常に意識することが求められます。

フレームワークを使っていると、それを埋めることが目的となってしまい、本来の目的や課題を見失うことがあります。

「フレームワークで何をしようとしているのか」「フレームワークから得た情報をどのように使うか」などを絶えず意識し、俯瞰した視線を持つよう留意しましょう。

ポイント③ フレームワークは一つにこだわらない

使用するフレームワークは一つに絞らず、必要に応じて複数使うことをおすすめします。

フレームワークの一つひとつは、万能ではありません。複数使うことでそれぞれのメリットを生かし多角的に思考・検証することが可能になります。その際に重要になるのが目的に合っているかの見極めです。

他にも事業のアイデアを出す際に活用できるフレームワークもございますので以下の記事をぜひご覧ください。

【関連記事】新規事業アイデアの出し方|フレームワーク・大企業の成功事例も紹介

まとめ

新規事業を始めたいと思っても「何から考えたらいいかわからない」という企業は多いでしょう。

そんな場合に力になってくれるのがフレームワークです。

当社では新規事業の支援をさせて頂く際には必ず上記のようなフレームワークを活用して論点を整理しており、新規事業を考える方には是非実践いただきたいと考えております。

必ずしも既存のフレームワークをそのまま使えば良いというわけではないですが、まずは既存のフレームワークで整理を行ってみると気付くことがあると思います。

フレームワークを埋めるというよりは、それぞれの観点について自ら問いを設定し、それに答えていくという形で整理すると、より実践的な使い方になるはずです。

フレームワークを使えば、問題点の整理や課題の発見、アイデアの提示や効果の検証まで論理的に進めることが可能になり、新規事業を効率よく前へ進めることができるので是非試してみて下さい。

また、弊社ではこのような観点で新規事業を検討し、成功確率を高めるためのコンサルティングサービスを提供しておりますので、外部の力が必要と思われた方は是非お問い合わせください。

 

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執筆者紹介

河上 祐毅

ムーンプライド 取締役

アクセンチュアの戦略グループで通信・メーカー・メディア企業を中心に支援、クライアントチームへ転部を経て10年間在籍の後にマクドナルドにてプロモーション効果分析や消費者調査を担当。ムーンプライドではヘルスケア・通信・ハイテクメーカーを中心にDX営業、新規事業立ち上げ、デジタルマーケティング領域で支援を実施。

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