市場規模とは?調べ方や具体的な算出方法・活用方法を紹介

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新規事業について考える際、最初にすることは何でしょう?

おそらくは商品やサービスのコンセプトを考える、開発した新技術をどう活かしてビジネスにするかを考えるといったことから始めると思います。

その次にほぼ必ずといって良いですが、市場規模を調べることになるでしょう。

それくらい市場規模を調べるのは新規事業を検討する際に避けて通れないものです。

新規事業への参入や新商品を開発する際には、市場規模を調べておく必要があります。

しかし、市場規模の調べ方を知らない人も多いのではないでしょうか。

この記事では市場規模とは何か、市場規模を調べる上でのポイント、市場規模の調べ方について解説します。

市場規模とは?

市場規模とは?

市場規模とは、特定の事業分野における、取引額や販売数といった業界全体の総売上のことです。

一般的な定義は「その業界の市場規模は、業界全体の年間売上高」となっており、自社・競合他社を問わず、業界の総売上高に相当するものを指します。

市場規模を把握すれば、業界全体においてどの程度の需要が見込まれるのか、業界の拡大縮小傾向などの判断材料になり、新規事業への参入の際や新商品を開発する場合に指標のひとつとなります。

市場規模を調べる上でよく使われる概念として「TAM(Total Addressable Market)」があります。

TAMは「事業が対象とできる可能性のある市場の規模」を表します。

多くの場合、事業を立ち上げる際にそのサービス内容を必要とする顧客が最大でどれくらいかを把握するために用いられます。

一般的な市場規模が商品やサービスが属する全体の市場を示しているのに対し、TAMは特定条件(サービスが届き得る地域や価格帯など)における市場を示しています。

TAMを正確に算出することは非常に難しいため、まずは判明している市場規模に対して自社の事業が何割くらいをターゲットとできるかの目安を持つことが重要です。

例えば、化粧品市場と捉えると国内全体では2.3兆円程度(2021年時点)ありますが、ヘアケアだけだとその20%の約4,600億円、男性用化粧品だと5.5%の約1,250億円と当然ですが急激に小さくなります。

さらにその中でオーガニックや特定の価格帯など商品のエッジを利かせようとするとTAMはさらに縮小します。

逆に幅広い市場をターゲットにしようとすると商品の特徴がどんどん薄れ、個性や競争力がなくなってしまうため、自分たちや商品の力量を過信せず、狙う市場をしっかりと見定めることが重要です。

特にここで例として挙げた化粧品市場は最も細分化が進んでいる市場の一つであり、いかにエッジを利かせるかが重要となるため、参入時はニッチな市場を見つけ、最大限差別化することがKSF(key success factor)です。

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事業開発における市場規模調査の目的

事業開発における市場規模調査の目的

新規事業開発において市場規模を調査する目的には、次の3つがあります。

・業界全体の需要の伸びを把握する
市場規模を調べることで、業界全体においてどの程度の需要があるのかを把握できます。その業界の需要がどのくらいあるのかを掴めば、事業の方向性を決めることに役立てられます。

・売り上げ予測を立てるため
市場規模を把握すると、商品やサービスがどの程度売れるのかの予測を立てることができます。また販売戦略を立てる際には、推定される売り上げを踏まえる必要があります。その際にも市場規模を活かせるのです。

・事業の将来性を予測するため
市場規模は、事業の将来性を予測する指標となるものです。新規事業を立ち上げるべきか、別の事業分野へ進出すべきかの判断材料にもなります。

 

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市場規模を調べる上でのポイント

市場規模を調べる上でのポイント

市場規模を調べる上で、事前に知っておきたいポイントがあります。

それは、市場の情報の量です。市場の情報が多いのは、自動車や医療といった市場規模が大きいもの、関心度が高い技術トレンドなどが挙げられます。

また、執筆時点(2023年)で技術トレンドが高まっているテーマの具体例としては、Web3やメタバース、DXコンサルなどが挙げられます。

市場を細かくしていくほど情報が少なくなるということを知っておきましょう。

また統計で使われる言葉の定義や調査範囲によって、データが大きく異なることがあります。

調査概要や調査票で、どの範囲のデータなのかを確認するようにしてください。

市場規模の調べ方

市場規模の調べ方

それでは、市場規模の調べ方を5つ紹介しましょう。

方法①官公庁が出す資料を調べる

官公庁が定期的に発行する資料には、市場規模の手がかりとなるデータが記載されています。

官公庁が発行しているため、信頼性が高いのが特徴です。

ただし業界が限られていたり、調査対象が限られた企業のみだけだったりするケースもあります。

より詳細なデータを把握するためには、ほかの市場規模の調べ方と併用するとよいでしょう。

なお、代表的な資料は以下の通りです。

・財務省「法人企業統計調査」

営利法人等の企業活動の実態を把握するために財務省が行っている調査が「法人企業統計調査」です。

各企業の「資産」「負債及び純資産」「損益」「人件費」などのデータを調べることができます。

・経済産業省「統計」(工場統計調査、工業統計調査など)

経済産業省が行う「統計」調査は、経済構造統計を作成することを目的にしています。

産業別や品目別の統計表が公開されています。

・総務省「情報通信白書」

「情報通信白書」は、総務省が実施する日本の情報通信の状況を把握する調査です。

情報通信企業の市場規模を調べるのに適しています。

・e-Stat 政府統計の総合窓口

「e-Stat 政府統計の総合窓口」は、政府が公表した資料を1つにまとめたポータルサイトです。

各種統計を簡単に検索・閲覧できます。

方法②業界団体が出す資料を調べる

業界団体が公表している統計データを用いて、市場規模を調べることも可能です。

たとえば「日本自動車工業会」「全国建設業連合会」「日本マーケティング・リサーチ協会」などでは、業界に関する統計データを公表しています。

とくに「日本マーケティング・リサーチ協会」では、各種業界の市場規模や国内産業の動向に関する情報を公開しており、手軽に市場規模を調べられます。

調査対象が業界の主要な企業であるため、信憑性の高いデータを得られるのが特徴です。

方法③​​​​​​​民間企業が出す資料を調べる

「富士経済研究所」「矢野経済研究所」「船井総合研究所」「インテージ」などの民間企業が出している資料によって、市場動向の概要をつかむことができます。

産業別の市場規模や業種別のマーケット動向、国内外の市場動向といったデータを調べることも可能です。

方法④市場規模マップで調べる

「市場規模マップ」は、市場規模の概略をビジュアライズしたマップで把握できるサイトです。

官公庁や業界団体などのレポートを収集し、各業界の市場規模をブロックの大きさで表しています。

業界別の市場規模の金額や前年比の成長率などを、ビジュアルで掴むことが可能です。

市場規模を大枠で捉えたい、他業種の動向も把握したい場合に大いに役立ちます。

方法⑤自身で算出する

場合によっては、上記の方法で市場規模を調べることができないこともあるでしょう。

たとえば新たに誕生した業界や、ニッチな業界などのケースです。

そのような場合は、公開されている情報やすでに出回っているデータ、推定値などによって自身で市場規模を算出することができます。

次の項で、自身で算出する場合の算出方法をご紹介します。

自身で算出する場合の算出方法

自身で算出する場合の算出方法

自身で算出する場合には、次の3つの算出方法があります。

方法①売上高と業界シェアから算出

業界全体の市場規模を算出するには、「ある企業の売上高」と「その業界におけるシェア」を使えば算出可能です。計算式は下記の通りとなります。

市場規模 = 売上高 ÷ 業界シェア

たとえば、A社の年間売上高が500億円で業界シェアが20%の場合、

500億円 ÷ 0.2 = 2,500億円

となり、市場規模は2,500億円です。

また「市場に参入している企業数」と「1社あたりの平均売上高」を用いて算出することもできます。

市場規模=企業数×平均売上高

たとえば業界への参入企業が約3,000社あり、各社の平均売上高がおよそ1億円の場合、

3,000社 × 1億円 = 3,000億円

となり、市場規模は3,000億円です。

方法②顧客数・顧客単価・購入頻度から算出

市場規模は、顧客数、顧客単価、購入頻度を用いて算出することも可能です。計算式は以下の通りです。

市場規模 = 顧客数 × 顧客単価 × 購入頻度

たとえばある業界の顧客数が約3,500万人、顧客単価は3,000円、顧客あたりの購入頻度は年10回の場合、

3,500万人×1,000円×10回=3,500億円

となり、市場規模は3,500億円です。

方法③フェルミ推定を利用する

市場規模を推計する際、限られた手がかりしか得られない場合には、フェルミ推定を利用して仮説を立てます。

フェルミ推定とは、予想もつかないような数字を、論理的思考能力を頼りに概算することです。

フェルミ推定の材料となるものには、

  • 日本の総人口
  • 世帯数
  • 平均寿命
  • 国土面積
  • 大企業の数
  • 中企業の数
  • ある特定の商品の平均小売価格

などがあります。

ただしフェルミ推定で算出される市場規模はあくまでも仮説であり、正しい回答ではありません。

実際の市場規模とはかけ離れている可能性もあるため注意しましょう。

また、目的の情報がない場合でも複数の前提をおいて市場規模を算出することは可能です。

例えば病院を設立する場合、特定の疾患の患者数を地域別に割り出すことは困難でもどの程度の割合でその疾患になる人がおり、どのくらいの人口圏であれば経営が成り立つかのシミュレーションを行うことはできるため、情報を組み合わせるとで市場規模の目安を作れることは多いです。

市場規模調査結果の活用方法

市場規模調査結果の活用方法

市場規模を調べたあと、その結果をどのように活用するとよいのでしょうか。

市場規模の結果により、業界全体の需要や市場の拡大縮小の傾向が把握できます。

新規事業開発においては、より精度の高い事業計画を策定が可能です。

また、事業戦略や販売戦略にも活かせます。

そのほか、新たな競合の参入や需要の縮小といったリスクに備えることもできるでしょう。

市場規模は事業の成否を予測する重要な指標

市場規模を調査することで、業界全体においてどの程度の需要が見込まれるのか、業界の拡大縮小傾向などの判断材料になり、新規事業への参入の際や、新商品を開発する場合に役立ちます。

市場規模の調査結果をうまく活用し、事業の成功や新たなビジネスチャンスにつなげましょう。

新規事業に特化したコンサルティングサービス「TACHIAGE」では、以下の3ステップに基づき、事業の立ち上げ経験が豊富なコンサルタントとともに、新規事業を成功へ導きます。

  1. STEP1:新規事業計画策定・計画見直し
  2. STEP2:事業立ち上げ・伴走
  3. STEP3:PoC実施支援

お客さまのビジネスの成功・発展をサポートする各種サービスについてご興味をお持ちの方は、ぜひご相談ください。

 

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執筆者紹介

中村 基樹

アクセンチュアに25年在籍後創業、主にハイテク製造業、通信、不動産、自治体のお客様の経営課題解決に尽力。新規事業・成長戦略、デジタル・IoT戦略、営業改革、SCM・調達改革、IT戦略・構築、業務・ITアウトソーシングなど、数多くのコンサルティングサービスを提供。

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