この記事は約8分で読めます。
事業を行う上で事業計画は、欠かせないものの一つです。
しっかりとした計画があってもうまくいかないのが事業です。
その上、計画がなければ、事業は行きあたりばったりになり、気づいたら資金が底をついている・・・ということもあり得るでしょう。
本記事では、事業計画の重要性、そしてどのように事業計画を作ればよいかを説明していきます。
事業計画とは
企業や経営者(経営陣)、事業部門の責任者が掲げた目標を達成するために作成する行動計画のことで、目標達成をイメージできる具体的な数字が盛り込まれます。
そこでは1年〜5年など、比較的近い将来までの目標や経営戦略が記されることが多いです。
事業計画を作成する目的とメリット
事業計画を練り、それを計画書としてまとめるのには、かなりの労力が必要です。
それでも、事業計画をつくるべきなのは、以下のようなメリットがあるからです。
メリット①:経営の羅針盤として機能する
事業計画を作成する目的は、事業を正しい方向へ進めるためです。
経営を航海に喩えると、事業計画は羅針盤や航行地図にあたるものです。
地図のない状態で航海に出てしまうと、大海原でどちらに進んでよいかわからず、目的地にたどりつくことができません。
事業計画という地図を持ち、それに基づいた経営をすることで初めて、目的・目標に向かって事業を進めることができます。
メリット②:事業の課題やリスクが見えてくる
事業計画を作成する際に、様々な角度から事業を客観視することにより、事業の強み・弱み、そして課題やリスクを把握しやすくなります。
計画なしに進めていたらぶつかっていたかもしれない問題や、法的リスク、資金面のリスク、雇用面のリスクなどを事前に把握することで、大きな失敗を避けることができます。
メリット③:事業の方向性を従業員と共有できる
従業員にとっては自分が所属する会社がどういう事業を始めるのか、またその事業の中での自分たちのやるべきことが明確になります。
従業員と事業の方向性を共有できれば、コミュニケーションも円滑に進み、スムーズに事業を進めることができるでしょう。
また、会社や自分たちの将来の姿を想像することができ、従業員並びに関係者の士気向上にもつながります。
メリット④:事業・予算の承認獲得や資金調達が可能になる
社内で新規事業を始める場合には上層部への事業計画の説明および承認が必須となります。
また、ご自身で事業を始める際に銀行からの融資や投資家からの資金調達を検討されている場合は事業計画書が必要になります。
当たり前ですが、金融機関や投資家は失敗に終わりそうな事業には資金を提供してくれません。
判断材料の一つが事業計画書ですから、しっかりと練られた事業計画書の作成が求められます。
本サイトの運営ならびに記事の執筆を行っているムーンプライドでは新規事業の立ち上げや推進に関するコンサルティングサービスを提供しております。
大手企業における新規事業企画、事業の推進支援やパートナー企業との共創事業支援、DX営業支援などを行わせていただいており、ご興味のある方は本サイトの案件登録フォームからお問い合わせください。
また、大手ファーム出身のコンサルタントも募集しておりますので、案件をお探しの方はfirmgradsからご登録をお願いいたします。
事業計画書の必要要素と書き方
事業計画書は、事業プランや資金計画など、盛り込むべき内容がある程度決まっています。
この項目では、事業計画書を作成する際に必要な要素と、その要素についてどのようなことを記載すればいいかをお伝えします。
【社外向けの事業計画書の場合は下記を冒頭に追記されることをおすすめします】
経営者・経営陣のプロフィール
実際に事業を経営する経営者や経営陣のプロフィールを記載します。
新規事業であれば、そのプロジェクトの責任者のプロフィールでもいいでしょう。
具体的に記載する内容は、経歴や資格などです。事業やプロジェクトに関係のある業務の経験がある場合は、事業計画に説得力をもたせる効果が期待できます。
この事業を実行する上で「なぜこの人物がいいのか」を理解してもらえるような内容を意識しましょう。
ビジョン・理念、事業の目的
事業に対する強い想い=「この事業を通じてこんなお客様の役に立ちたい」「事業を通じてこんな社会課題を解決したい」など、この事業に対する想いをぶつけることで、この事業計画に賛同してもらうことができます。
資金調達の面でも、従業員のモチベーションの面でも、共感できる内容にすることが重要です。
【以下は社内・社外向け問わず必要な項目となります】
事業概要(全体像)
どのような事業内容なのか、どの市場・ターゲット(顧客)に向け、どんな商品・サービスを提供し、どのような顧客(社会)の課題を解決するのかを簡潔にまとめます。
ここでは、自社商品のすばらしさを伝えようと、長々と説明するのは避けましょう。
あくまでも簡潔明瞭な記載を心がけましょう。
市場環境及び競合について
市場ニーズや競合他社をはじめとする事業を取り巻く環境について端的に説明します。
ここで必要なポイントは、市場にどのようなニーズがあり、競合他社はどのような商品・サービスを展開しているのかを伝えることです。
注意点は、客観的なデータ・分析に基づいた説明を心がけることです。
また、市場については定量的なデータを加えるようにこころがけてください。
自社の強みと差別化ポイント
④で説明した市場や競合といったビジネス環境で、自社にはどのような強みや特徴があるのかを記載します。
事業をおこなう上では必ずと言っていいほど、競合する相手が存在しますから、競合との差別化ポイント、自社の独自のアイデアなどを盛り込み、自社にしかない付加価値を見せることが重要です。
既にコアとなる事業がある場合はその一部を活用し、強みを構築できるよう検討すると考えやすく、逆にアセット(人、技術、事業など)が生きない飛び地での事業展開は事業を軌道に乗せるためのハードルが増えることを意識してください。
マーケティング・販売戦略
どんなに素晴らしい商品・サービスでも、存在を知られなければ売れません。
世の中のニーズに対して、どのような手段でターゲットにアプローチしていくのか、どのような手段で商品・サービスを伝えるか。
マーケティング活動と販売活動の戦略をまとめて、記載します。
B2Cは多くの場合マーケティングが重要になり、B2Bの場合は販売チャネルや顧客接点をどう構築するかが売上を伸ばすための肝となります。
生産方法、仕入れ先や経営資源・ケイパビリティの確保
事業によっては、実際にモノを作ったり、仕入れたりする必要があります。
どのように販売する商品を確保するのか、仕入先や生産環境について説明します。
「安く仕入れて(作って)、高く売る」、これはビジネスの基本であり、これが競合他社より秀でていれば価格設定で有利に働き、自社の強みとすることも可能です。
また、昔から人は重要な経営資源ですが、最近では特に人材獲得が困難になってきています。
人材はサービスの品質に直結するリソースでもあるため、人の数だけでなく
収支計画
売上、売上原価、人件費、広告宣伝費など、売上と費用、残る利益を算出し、どれくらいの収益を得られるのかの計画を立て、記載します。
売上は、販売戦略から考えた予測値になりますが、現実的な数字を割り出し、無謀な計画にならないようにしましょう。
売上計画や原価計画は、商品別やサービス単位で考えると、計画を立てやすくなります。
もし、融資を受けるのであれば、利息も含めた返済計画も追加しましょう。
企業によっては社内に黒字化までの月数のルールや必要な予算規模に応じた稟議基準があったりするため、企業内で新規事業計画を立てる場合はそのような点も意識しておくと良いでしょう。
資金調達計画もしくは予算計画
事業計画において収支計画と並んで重要な項目です。
「利益は出ている=現金がある」とは限りません。
黒字倒産といい、利益が出ているのに経営破綻するケースはよくあることです。
そうならないように、しっかりとした資金計画を立て、事業計画書には返済できる自己資金がどれだけあるかを明記しておきましょう。
大企業の場合はそのような心配はあまりない一方で、後から予算を増やしてもらうことが困難なケースが多いため、どの程度の金額が必要かをしっかりと計算しておく必要があります。
事業計画書作成時の注意点
続いて、事業計画書作成時の注意点について解説していきます。
できるだけ簡潔にわかりやすく
多くの情報を盛り込んだほうがわかりやすくなると考える方もいるかもしれませんが、伝えたいことをシンプルに記載するほうが実際は伝わりやすいものです。
事業内容や業界に明るくない人が読んでも理解してもらえることを意識しましょう。
数字にはしっかとした根拠をつける
計画の中の数字に違和感があると、せっかくの事業計画書が台無しになります。
逆に数字の裏にある根拠をきちんと示すことができれば、事業計画書の納得感が上がり、携わる社員のモチベーションを上げたり、投資判断を行う役員や投資家、金融機関から好印象を得られます。
細かく具体的な内容を記載し、自らが詳細を話せるようにする
資金提供者にしっかり理解・納得していただけるように計画や数字以外の情報も加えつつ、プレゼンの際にはそれらを信じる理由や根拠を自分の言葉で話せるようにする必要があります。
事業計画書は書類として提出するだけでなく、通常はプレゼンや質疑応答が発生するため書かれていないことも含め自分が細かい点を説明できるようにしておくことが重要です。
無料テンプレート
創業型(新規事業にも対応)の事業計画であれば日本政策金融公庫が雛形を公開しています。
【引用】事業計画書無料テンプレート:日本政策金融公庫(外部リンク)
企業様が参考に使えるテンプレートはWeb上に公開されているものもあります。
検索サイトで{事業計画書 テンプレート}{事業計画書 雛形}で検索すると表示されます。
代表的なものとしては「ビズオーシャンのテンプレートサイト」があります(使用には無料の会員登録が必要です)。
【引用】企業向け事業計画書無料テンプレート:ビズオーシャン(外部リンク)
事業内容や規模に合わせて使ってみるのもおすすめです。
中には著作権の許諾をもとめられるものもあるので、その点留意が必要です。
まとめ
事業計画書の作成は、立ち上げる事業の構想を整理し、一貫したストーリーや流れのある事業に組み立てるとともに事業化に向けた行動を明確にするために必要なものです。
作成した事業計画書は金融機関をはじめとする資金提供者向けだけではなく、計画した事業の進捗管理や経営における意思決定や関係する従業員と意志共有、彼らの仕事へのモチベーションアップの拠り所としても活用できます。
とはいえ、事業計画書はいろいろな要素を簡潔かつ具体的に書かねければならないため、作成するハードルは高いと言えます。事業計画書作成には当社をはじめとする経験と実績のあるコンサルタントにご相談いただくことも事業成功の選択肢の一つとしてご検討いただければと思います。