宇宙ビジネスの市場規模・代表企業を紹介!事業参入において考えるべきこと

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宇宙ビジネスは、現在、世界的に注目度の高い分野です。

では、その市場規模はどのくらいなのでしょうか?

この記事では、いま宇宙ビジネスに取り組んでいる代表的な企業と日本のスタートアップを紹介し、宇宙ビジネスが注目される理由や宇宙ビジネスの今後の成長について解説しています。

宇宙ビジネスの市場規模

宇宙ビジネス

かつては多くの人にとって夢物語であった宇宙でのビジネス展開ですが、近年宇宙ビジネスの市場規模は大きく拡大しており、世界中の国や企業が真剣に宇宙に目を向けています。

2010年に約27兆円だった世界の市場規模は、2019年には約40兆円まで成長し、さらに2021年には64兆円にもなっています。

2040年には120兆円以上にものぼると予想されており、成長著しい分野の一つと見られています。

また米国での宇宙ビジネスはおよそ30兆円規模で展開されており、官需41%、軍需19%、民間38%、その他が2%なのに対し、日本の市場規模は1.2兆円でその90%以上は官需という現実があります。

そのほかの先進国にも大きく水を開けられており、これに対し日本政府は「宇宙産業ビジョン2030」の中で、2030 年代に市場規模の倍増を目指すという方針を示しています。

参考:財務省 日本の発展に向けて

宇宙ビジネスに取り組む企業

宇宙ビジネス

これまで説明した通り、日本国内での宇宙ビジネスの市場規模はまだこれからといったところですが、ここ数年で宇宙ビジネスに取り組む国内企業は増加しています。

また世界の企業はすでに宇宙に目をむけ、具体的な事業をスタートさせています。

ここでは宇宙ビジネスに取り組む代表的な企業の一つ「スペースX」と、日本でいち早く宇宙ビジネスに取り組んでいる「GITAI」について紹介します。

スペースX

イーロン・マスクが創設したスペースXは、民間での宇宙開発をけん引する企業で、2022年には61回ものロケット打ち上げを行っています。

この数は、世界で打ち上げられた回数の3分の1に相当します。

主に火星への人類の着陸を目標とした宇宙探査事業、ブロックチェーン技術を用いたスペーステックの開発、すでに実用化されたスターリンク事業などを展開しています。

宇宙探査事業では、アメリカが出資する2025年以降に月面への有人着陸を目指す「アルテミス計画」において29億ドルもの出資を受け宇宙船の開発に取り組んでいます。

スペーステック事業では、宇宙空間での仮想通貨の活用や、宇宙空間で使用できる衣類用洗剤の開発を行っています。

またすでに実用化されているスターリンク事業は、衛星から地上に向けてブロードバンド接続を提供するサービスで、インフラが整っていない発展途上国や海上でも高速なインターネット回線が利用可能にしています。

ウクライナ戦争にも影響している?

スペースXが行うスターリンク事業は、広くインターネット回線を提供するため、国家間の抗争においても使用された事例があります。

2022年の2月から続いているロシア・ウクライナ戦争では、ロシアの侵攻によりウクライナのインフラのほとんどが使用不可となったため、ウクライナ軍によってスターリンクが使用されました。

一時はウクライナ国内で1万5000機ものスターリンクが使用されましたが、戦争激化を懸念したイーロン・マスクによって使用制限がかけられました。

宇宙ビジネスを進める民間企業の判断によって、地上の戦争に大きな影響を与えた歴史上でも珍しい事例です。

GITAI

GITAIは先進的な宇宙技術を駆使し、宇宙開発の未来を切りひらく日本初の企業として世界的に注目されています。

汎用型ロボットの開発と使用を通し、宇宙飛行士の作業コストを13万ドルから100分の1にまで低減させることをビジョンに、2016年に設立されました。

人工衛星、宇宙ステーション、月面基地、火星の都市の建設と維持に使用できる安全で安価な宇宙用作業ロボットの研究開発・製造を行っています

2021年にはNASAとの契約を締結し、ISS(国際宇宙ステーション)上で同社が開発したロボットアーム「S1」を使用した太陽光パネルの組み立てに成功しています。

2022年には、ロサンゼルスに新オフィスを開設し、宇宙開発の先進国である米国で事業活動を拡大しています。

 

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宇宙ビジネスが注目される理由

宇宙ビジネスが注目される理由

では、なぜこれほどまでに宇宙ビジネスには注目が集まっているのでしょうか?

その背景には、実現するために必要な技術水準が向上してきたことがあげられます。

実現可能なことが増えてきたため、宇宙ビジネスの可能性は広がっています。

ここでは、宇宙ビジネスが注目されている3つの理由を紹介します。

資源によるリターンが見込まれる

宇宙は人類にとって、まだまだ未開拓の領域です。

最も近い天体である月でさえも調査や開発が進んでおらず、仮に今後宇宙から新たな資源が見つかったとしても、それを規定する国際的な法的枠組みも不十分です。

つまり、それだけ可能性のある市場であり資源の存在がわかっているため、多くのリターンが見込め、国や企業が参入しているのです。

例えば、以下のようなリターンが予測されています。

  • 月のレゴリスや岩石
  • 宇宙空間からの水の採取
  • 小惑星に潜む鉱物やレアメタル
  • 月の砂(レゴリス)を利用したコンクリートや、ロケットの推進剤になる水を探す研究が行われています。

また月の表面から得られる資材を利用して、月面基地や実験施設を建設する計画が進んでいます。

地球から資材を運ぶ必要がないため、資源開発が進むとさらに事業が拡大していきます。

また開発が進むことで、小惑星からのレアメタルの採集が可能になることも期待されています。

人の移住先として注目されてる

地球温暖化や人口の増加によって、今後地球上の資源だけでは全ての人類を賄えなくなることが予想されています。

もっと遠い未来に目を向けると、数億年後には太陽が今よりも膨張し、地球上に住めなくなる可能性も示唆されています。

このような背景から、アメリカ主導の月面探査プログラム「アルテミス計画」では、2025年に月面に人類を送り拠点開発を行うことで、人類の月での持続的な活動を目指しており、将来的には以下のようなことも実現できるでしょう。

  • 居住地の確保
  • 宇宙での雇用の創出
  • 地球環境の負担の軽減

日本からは、トヨタ自動車やベンチャー企業のispaceがアルテミス計画に参加しています。

またイーロン・マスク率いるスペースXでは火星移住計画を進めており、2050年までに100万人の火星移住を目指しています。

人類の活動できる範囲が広がることで、多くのビジネスチャンスが生まれることが予想されています。

スタートアップもお金を調達しやすくなってきている

宇宙ビジネスが成長分野であることは、以下の点によって示されています。

  • 民間のスタートアップに資金が集まりやすくなった
  • 大手ベンチャーキャピタルの出資
  • 宇宙ビジネス関連企業の増加

宇宙ビジネスに参入するためには莫大な資金が必要なため、これまではスタートアップ企業が参入しにくいのが実情でした。

しかし、日本でも宇宙ビジネスへの関心が高まるとともに投資も進んでおり、ベンチャーキャピタルから多額の出資を受ける企業も登場しています。

例えば小型人工衛星の開発を手がけるアクセルスペースは、2023年に約62億円もの資金調達を成功させ、他にも数億円単位の出資を受けるスタートアップ企業も登場しています。

また日本政府は、2030年代に宇宙ビジネスの市場規模を現在の倍にする目標を掲げています。

JAXAも2022年より出資を開始していることから、引き続き投資家からの関心が高い分野となるでしょう。

実際に2010年代には10社程度だった宇宙ビジネス関連の企業も、2023年3月には85社まで増加しています。

宇宙ビジネスへの参入企業が増え技術革新が進むことで、これから私たちの生活においても身近になってくるでしょう。

官需依存の産業構造が変化することで、さらなる成長の見込まれる分野です。

宇宙ビジネスを視野に入れている企業の方へ

宇宙ビジネス

宇宙ビジネスは可能性に溢れる、夢のある事業です。

さまざまな事業機会が設けられているものの、まだ成功しているモデルが少なく、新規で参入するには資金面の問題や事業内容の選択など多くのハードルがあります。

特に宇宙ビジネスにおいては莫大な資金が必要となるため、事業が軌道に乗るまでのJカーブが深く長くなる可能性があり、支えとなる最新の知識や情報は欠かせないでしょう。

現在のところ最も実現性があるのは通信事業ですが、人類が火星に住むという夢のような話の実現にはもう少々時間がかかるでしょう。

その間に新天地でどのようなビジネスを展開し成立・維持させるかは今後の課題となります。

「TACHIAGE(タチアゲ)」では宇宙ビジネスを成功に導くための、最新のモデルケースや専門的な人材を用意しています。

新しい時代に向けて「TACHIAGE」とともに、夢のある宇宙ビジネスを成功させてみませんか?

 

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執筆者紹介

河上 祐毅

ムーンプライド 取締役

アクセンチュアの戦略グループで通信・メーカー・メディア企業を中心に支援、クライアントチームへ転部を経て10年間在籍の後にマクドナルドにてプロモーション効果分析や消費者調査を担当。ムーンプライドではヘルスケア・通信・ハイテクメーカーを中心にDX営業、新規事業立ち上げ、デジタルマーケティング領域で支援を実施。

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