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スーパーアプリは1つのプラットフォーム内に、さまざまな機能を持ったアプリが統合され、本来の目的以外にも多様な活用方法があるアプリのことを指します。
本記事ではスーパーアプリとミニアプリの違い、スーパーアプリが注目されている理由、国内外の有名なスーパーアプリなどを解説しています。
これから発展が期待されるスーパーアプリも紹介していますので、インストールするアプリの参考にしましょう。
スーパーアプリとは?
スーパーアプリとは、1つのプラットフォームとなるアプリの中に、別々の機能を持ったアプリを統合して幅広い場面で利用できる機能性の高いアプリを意味します。
日本で月間9,500万人以上が利用しているアプリのLINEも、チャットや電話の機能に加えて、音楽・漫画・ニュース・決済などさまざまな機能が搭載されています。
スーパーアプリは1つのアプリを利用することで、他のアプリを利用する必要がなくなり、サービスがその中で完結する点が特徴です。
そのため、スーパーアプリを1つインストールすれば、他のアプリをいくつも利用する必要がなくなり、利便性が大幅に向上します。
ミニアプリとの違いは?
スーパーアプリと関係する用語として、ミニアプリがあります。
ミニアプリとはアプリの中で利用できるアプリのことで、スーパーアプリの中に統合されているアプリのことを指します。
例えば、LINEのミニアプリは決済機能や音楽機能、ニュース機能などの小さな機能を持つアプリひとつひとつのことです。
ミニアプリはスーパーアプリをインストールすれば利用可能で、複数のアプリを開いたり、閉じたりする手間がかかりません。
またスーパーアプリに付随する機能であり、その都度個人情報の登録を行う必要もないため、ユーザーにとって利用のハードルが低い点でも優れています。
スーパーアプリ1つをインストールする分だけの空き容量があればよく、メモリを消費しないところも良い点です。
スーパーアプリはなぜ必要?
スーパーアプリが必要とされる主な理由は3つあります。
- 必要のないアプリをダウンロードしなくてもよい
- スマホの空き容量を気にしなくてもよい
- アプリをいちいち立ち上げる必要がない
例えばホテルの予約を取るためにアプリをインストールしても、旅行や出張がなければ以後アプリが使われることはありません。
しかしスーパーアプリにホテル予約の機能も搭載されていれば、便利な機能の1つとして利用できます。
またスーパーアプリ1つを立ち上げていれば、他のアプリを開く必要もなくなり、スマホの空き容量を使うこともないでしょう。
スマホも年々性能が高くなっているとはいえ、インストールできるデータ量には限度があります。
その点、スーパーアプリなら1つをインストールすれば、ほとんどの悩みを解決できるため需要が高まっています。
世界のスーパーアプリの具体例
スーパーアプリは日本だけでなく、世界的にも活用されています。
世界のスーパーアプリにはどのようなものがあるのか、具体例を3つご紹介します。
Alipay
Alipay(アリペイ)は、eコマースでも知られるアリババグループが提供するキャッシュレス決済サービスです。
Alipayは中国国内に10億人以上のユーザーがいるとされ、オフライン決済は幅広いシーンで活用されています。
Alipayがスーパーアプリとして統合しているのは、タクシー配車・バイクシェアリング・医療・資産運用などのミニアプリです。
中国は圧倒的な人口を誇ることから、タクシーを含む移動手段の確保が難しい状況にあります。
その点、Alipayを利用すればタクシーやバイクなどの移動手段を確保しやすく、決済サービス以外の面でも活用が進んでいます。
また信用スコア診断機能も搭載されており、マイホームや事業資金などの融資でも役立つアプリです。
WeChatは中国のTencent社が開発したメッセージアプリです。
もともとはFacebookのメッセンジャーとSNS機能が融合したものでしたが、スーパーアプリとして機能性が拡張されました。
日本のLINEと同様に通話機能の他、オンラインショッピング、決済機能、チケット・ホテルの予約、税金の申告など幅広い機能が搭載されています。
中国で最初のスーパーアプリであり、ミニアプリは100万種類にも達するといわれています。
WeChatがあれば生活で必要なことはほとんどできるとされ、中国ではほとんどの方が使用しているスーパーアプリです。
Grab
Grabはマレーシアの配車サービスのスーパーアプリです。
マレーシア以外にも東南アジアの約330都市で利用できます。
配車以外にも運転手との連絡、決済機能、自動車保険、ローンなどのサービスもあります。
Grab1つで配車から交通事故まで対応可能なスーパーアプリです。
また海外でもサービス展開できるように、各都市の交通事情やルールも加味してミニアプリが統合されており、東南アジアでは高いシェアを誇っています。
スーパーアプリの成功のポイント
日常利用型アプリ
世界的に有名なスーパーアプリはWechat(メッセージング)、Alipay(決済)、Grab(配車)、Go-jek(配車)であり、それぞれ出自は異なりますが、日常的に利用するサービスであり、幅広いユーザーを獲得していたという点は共通しています。
それぞれが強みを持ちながらフィットする周辺サービスの利用を可能にしたことで様々なサービスやミニアプリが利用できるアプリに育っていきました。
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リープフロッグ
また、共通する特徴としてはアジアのサービスである点です。
あまりインフラが整っていなかったマーケットだからこそ急速に広まりました。
先進国で起きがちな既存サービス・市場との摩擦や法制度の改正などの制約が少ないため、先進国が通ってきた発展プロセスを飛び越え、サービスが急速に普及する「リープフロッグ型」と呼ばれています。
その観点では日本で幅広くスーパーアプリが出てくる可能性は低いと言わざるを得ませんが、スーパーアプリの機能や周りを巻き込むことで大きくなる点などは見習える点かと思われます。
国内での事例
国内のスーパーアプリで代表的な事例は、LINEとPayPayです。
LINEは日本国内の利用者が9,500万人以上いるスーパーアプリの1つです。
もともとはメッセージアプリから始まり、決済機能、ゲーム、ニュース、音楽、ショッピングなど様々なミニアプリを搭載するようになりました。
もう1つのスーパーアプリであるPayPayを運営するYahooと経営統合し、スーパーアプリとしてさらに機能性を高めました。
PayPayはキャッシュレス決済サービスを根幹にしたスーパーアプリで、ミニアプリにはフリーマーケット、タクシー配車、ショッピングモールなどの機能があります。
またYahooとLINE株式会社が経営統合したことによる、PayPayとLINEのサービス連携も大きなポイントです。
相互連携のスーパーアプリになる期待が大きく、今後もサービス内容が充実していくでしょう。
国内での今後の新規開拓可能性
国内にはLINEとPayPay、中国や東南アジアではWeChatやAlipay、Grabなどがある状況下では、新規参入のスーパーアプリが活躍する余地はないように思えます。
しかし、有名なスーパーアプリは汎用性の高さでユーザーを獲得する一方で、特定の分野とターゲットに絞った戦略なら今後活躍する可能性は十分にあります。
例えば日本国内で発展の可能性の高いスーパーアプリが、au PAYやソフトバンクなどです。
今後の発展が期待されるスーパーアプリを3つご紹介します。
au PAY
au PAYは名前の通り通信キャリアのauを運営するKDDIが提供するサービスで、ファイナンス分野に強いスーパーアプリです。
au PAYには電子マネー決済機能、公共料金の支払い、資産運用、保険などのサービスが統合されています。
国内の3大キャリアの1つとして経営基盤も盤石で、他社との連携も積極的に行っていくことが期待されています。
2022年6月時点で約2,900万人の会員数がいることから、既に多くのユーザーから利用されているサービスといえるでしょう。
今後はさらなるサービスや機能の拡張が期待でき、LINEやPayPayとは違ったターゲットに絞った活用が進むと考えられます。
ソフトバンク
ソフトバンクは成長戦略として「Beyond Carrier」を掲げており、世界で交通サービスを展開するSplytの主要株主になりました。
スーパーアプリは明確に打ち出されてはいませんが、自社の通信サービスを活用したタクシー配車、ライドシェアリングなどのスーパーアプリ開発が期待されています。
ソフトバンクもauと同様3大キャリアの1つであり、盤石な基盤を元に多くの企業との連携が期待できます。
広島広域都市圏ポイントアプリ
地域に限定して注目すると、広島市の中心部60㎞圏内の地域で利用できる「広島広域都市圏ポイントアプリ」も新しい試みです。
ターゲットは広島市周辺の25市町のユーザーに絞られていますが、キャッシュレス決済サービスやクーポン券、ポイントなどを利用できるスーパーアプリです。
また広島広域都市圏ポイントに限らず、地方でもダイバーシティ化が進む中で、地域住民のニーズや地域密着型のサービスが増えています。
今後は大手企業のスーパーアプリだけでなく、特定地域や特定のユーザーをターゲットにしたスーパーアプリの開発が期待されます。
まとめ
スーパーアプリを作ることは目指すのは前述したとおり、インフラが整っている日本においてはかなり難易度が高いと思われます。
近年では自治体が地域を盛り上げるためにスーパーアプリの機能を取り込もうとしているケースが散見されます。
企業としてはそのような機能を準備・提供するビジネスや周辺プレイヤーと連携してサービスの魅力を増すという点など学ぶべき点を見極めて参考にするということが望ましいと思います。
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