Web3(Web3.0)とは?分散型インターネットのメリット・サービス事例を紹介

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ここ数年、分散型インターネットとして注目されるようになったWeb3。

特定の人が情報発信する「Web1.0」、SNSなど誰もが情報発信できる「Web2.0」、そして特定のプラットフォームに依存しない新しいインターネットのカタチ「Web3.0」(以降「Web3」と表記します)。

近い将来、Web3の時代が到来する、主流になると言われています。

事業担当者は今から先駆けて、Web3への理解を深めておきたいものです。本記事ではメリットやサービス事例などを紹介しながらWeb3について説明していきます。

Web3(Web3.0)とは?

Web3(Web3.0)とは?

Web3とは、次世代インターネットとも表現され、ブロックチェーン技術を活用した「分散型インターネット」を意味します。

現在はインターネットで情報を探したり、見たり、発信したりする場合は、GoogleやYouTube、Instagramといったプラットフォームを利用することがほとんどです。

いわばプラットフォームという管理者による中央集権型サービスと言えます。

対して、「分散型インターネット」と言われるWeb3は、ブロックチェーン技術の活用によってユーザー同士でデータの管理やコンテンツの提供・販売、お金のやり取りが可能になります。

つまり、Web3ではデータ所有や決済処理などのインターネット上のさまざまな仕組みや機能が利用者側に分散される非中央集権型の新しいエコシステムが創出できるのです。

Web3が注目を浴びる理由

Web3が注目を浴びる理由

2018年頃から始まったとされるWeb3ですが、世界中が注目をするのには理由があります。

プライバシー問題への懸念

Web2.0時代のインターネットでは、GAFAなどの一部のプラットフォーマーによる個人情報の収集・管理が進んでおり、ネット広告のためのユーザーの行動ログの活用が進みすぎているといった、プライバシー侵害の問題が指摘されています。

そのため、Web3が注目を浴びる背景には、巨大プラットフォーマーによる中央集権的な仕組みを介すことなく、個人が自分の情報やデータを所有でき、誰でも安全に利用できる、活用できる新しいインターネットへの期待が挙げられます。

Web3実現のための技術の発達

ブロックチェーンと呼ばれるネットワーク上の端末同士を直接つないで、様々な取引履歴を暗号化して分散的に記録する技術によって、暗号資産、NFTといったものが生まれました。

このような暗号資産やNFTを活用することでプラットフォーマーを介さず、ユーザー同士が誰でも自由に取引を行うことができる土壌ができあがってきました。

こうした技術の発達によってWeb3が現実味を帯びてきたことも注目されている理由です。

 

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Web3の実現によるメリット

Web3の実現によるメリット

巨大プラットフォーマーの支配・縛りから離れたWeb3にはどんな可能性や利便性があるのでしょうか?

ここではWeb3の具体的なメリットを紹介します。

セキュリティの向上

Web3ではサービスを利用する際に誰がどの情報をやり取りしたということが記録に残り、誰でも参照可能になるとともに、ブロックチェーン自体が暗号化されているため、不正を働くことが非常に難しいです。

また、データは分散して記録・管理されるので情報改ざんなどの可能性も大幅に低くなります。

データがユーザー同士で分散管理されるということは、ユーザーが相互に監視している状態とも言えます。

データを改ざんすれば、他のユーザーが管理するデータとの差異が発生し、不正がすぐ検知される仕組みになっています。

事実上、不正アクセスやデータ改ざんが不可能と言われており、セキュリティ面の向上が大いに期待できます。

サービスの安定

Web3は分散型のネットワークで情報通信を行う際に、サーバーの経由を必要としないため、サーバーにアクセスが集中してシステムダウンし、サービスが停止するといった心配がありません。

また、端末同士がつながりサービスが展開される中で、仮にどれかの端末が故障したとしても、他の端末が処理を代替するためサービスが停止することもなくサービスを利用することができます。

企業とユーザーの直接取引が可能

Web3は、プラットフォームを介さず企業とユーザー、またはユーザー同士がつながり、取引が可能です。

そうすると、これまでプラットフォームを介することで発生していた手数料が不要になり、費用を削減することができます。

言論の自由の担保

現行のWeb2.0のサービスでは、利用者の発言に対して、サービスを提供する企業や第三者によって検閲が行われたりすることの可能性を排除できません。

しかし、Web3ではユーザーの発信に対して検閲などのコントロールが入る余地はなく、表現の自由が担保されます。

一方で、企業がWeb3を活用する際には、自社のコンプライアンスと照らし合わせ「自由ということの使用範囲・認識範囲」に関して何らかの行動規範・規定を準備する必要があるでしょう。

Web3を活用したサービス事例

Web3を活用したサービス例

ここでは代表的なサービス事例をいくつか紹介していきます。

これからWeb3を事業に取り入れていこうとされる方は参考にしてください。

株式会社電通グループ

電通グループではWeb3の研究開発を行う企業と資本業務提携をおこなっています。

2021年6月にブロックチェーン技術をはじめとするWeb3の研究開発などを行う「シビラ株式会社」との資本業務提携を発表しました。

ここでは食資源循環・フードサイクルの取り組みやWeb3の情報流通基盤活用することで、持続可能な循環型経済の仕組みづくりを目指すプロジェクトなどを開始しています。

電通グループのWeb3への取り組みは、同社が持つDXや先端技術に対する多数の実績の一つとして、今後のさらなる展開に注目が集まります。

株式会社ドリコム

ドリコムは、ソーシャルゲーム事業や広告・メディア事業を展開している会社で、その経営リソースを活かし、VRゲーム開発に強みのあるThirdverseグループとともに、ゲームと金融をつなげたGameFi領域における、ブロックチェーンゲームの企画・開発や運営をおこなっています。

GameFiは仮想通貨やNFT(非代替性暗号資産)を獲得できるゲームで、プレイによって自分の資産が増える可能性も広がり、ここ数年プレイヤー人口が増え続けている点も成長要素として注目できます。

大日本印刷株式会社

大日本印刷は、従来の印刷事業や飲料事業に加え、最近ではメタバース開発にも注力している企業です。

最近ではNFTの企画・配信を行っている「SUSHI TOP MARKETING株式会社」との業務提携が報じられました。

今後の展開として、エンターテイメント分野におけるファンによる応援活動をNFTとして記録できる「推し活NFT」サービスの開発に取り組んでいくそうです。

ファンクラブのもう一つのカタチとして、また大日本印刷が「印刷」の殻を破る事業として、Web3にその価値を見出した点にも注目できます。

Web3を活用する上での今後の課題

Web3を活用する上での今後の課題

Web3には、次世代インターネットとして大きな可能性があり、事業担当者の中には導入を検討しようと考える方も多いかと思いますが、まだ現時点ではクリアしなければならない課題がいくつかあります。

最後にその課題を見ていきましょう。

法整備が進んでいない

新しい物、システムを使う場合、どうしてもこの問題を論じなければなりません。

後々、罰則を受けるリスクを避けるためには、個人、企業に関係なく、すでに商取引のルールが明示されている国を選び、事業を展開するのが妥当です。残念ながらこの点において日本は遅れています。そればかりではありません。

日本の現状の税制では、暗号資産を発行した時点で課税対象となるため、資金に余裕のないベンチャー企業などは、大量の暗号資産を発行できません。

暗号資産はWeb3と切っても切り離せないため、これは大きな痛手となります。

この問題については政府も把握しており、2022年7月に経済産業省内に「大臣官房Web3.0政策推進室」を設置、2023年の税制改正では暗号資産への課税の見直しの議論がされるとのことですが、法制改正までには時間を要するとされています。

利用までの技術的・心理的ハードルが高い

総務省の調査によると、日本ではインターネットを利用する理由のほとんどが、情報の検索、メールの送受信、SNSの閲覧です。

一方で、「商品・サービスの購入・取引」経験があるのは約58%、金融取引経験者はわずか20%前後であり、50代以上では、インターネットで買い物をしたことがある人ですら40%程度に留まります。

この調査からインターネットの活用が限定的であるということがわかります。

こうした中で、自分自身で取引所に登録して暗号資産を購入し、NFTを購入する、DAO(分散型自律組織)に参加したりする人はごく一部であることも予想されます。

また日本では暗号資産には「一攫千金」を狙った投機的手段の一つというイメージが強く、利用に対する心理的なハードルも高くなるでしょう。

今後、日本でWeb3を普及させるためには、ITリテラシーの向上はもちろん、暗号資産への心理的ハードルを取り除くことが急務でしょう。

普及に伴いスケーラビリティの問題が発生する

Web3は、ユーザー同士でネットワークを構築するブロックチェーンがベースとなります。

ブロックチェーンではユーザーの取引すべてを共有しますから、利用者が増えると、必然的に取引にかかる負荷が大きくなり、取引にかかる時間も長くなります。

すると、機器やソフトウェア、システムなどの拡張性・拡張可能性が求められます。

これはコスト(投資コスト)増を意味します。

こうしたスケーラビリティ(拡張性・拡張可能性)については、今後、Web3を拡大していくにあたって必ず解決しなくてはならない問題です。

まず、考えられる具体策には、ユーザー間の取引記録を必要なものだけにして、その負担を軽減するなどの取り組みの構築でしょう。

このようにスケーラビリティは、Web3を事業に導入するにあたって、費用対効果を考える上で、嫌でも意識しておきたい重要な課題といえます。

まとめ

本記事ではWeb3について、メリット、活用されている事例、普及させるにあたっての課題を説明してきました。

現在のWeb2.0のインターネットにおける巨大企業・プラットフォーマーへの情報集中からの脱却がその本質的な目的になりそこから自由な商取引が可能となる点で、大きな可能性を感じている企業や個人も多いと思います。

しかし一方で、いま説明したようにWeb3の普及には課題が多いことも事実です。

例えば、日本国内での本格的な動きは法改正後を待たなくてはならないでしょう。

したがって多くの人が正しくWeb3のメリット・デメリットを理解できるのは、今日明日というわけにはいきません。

だからといってWeb3を視界から遠ざけることはお勧めできません。

特に新規事業や事業開発担当者は、この流れを注視し、事業内容との関係性に敏感になっている必要があります。

すぐに導入する、しないに関わらずこのWeb3については、外部のプロを活用する価値はあります。

変化の激しいビジネス環境にあって、「まだいいだろう」では取り返しのつかない遅れを招くこともあります。

気になる方は一度当社にご連絡ください。

詳しい導入事例をご用意しお待ちしております。

 

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執筆者紹介

西村 聖司

アクセンチュアに20年以上在籍後、創業。主に製造業やサービス業のお客様に対して、営業改革や人事業務改革・人材育成、コミュニケーション変革などの企画やプロジェクトマネジメントのコンサルティングサービスを提供。中小企業診断士として、経営指導やベンチャー支援も実施。

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